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政府白書  
中国のエネルギー現況と政策

 

四、エネルギーの供給能力を高める

中国は長期にわたり、自国のエネルギー資源に依存して経済を発展させ、エネルギー自給率を90%以上に保ち続け、大部分の先進国をはるかに上回っている。今のところ、中国はすでに世界第二のエネルギー生産国であり、比較的強いエネルギーの生産供給の基盤を備えている。小康社会を全面的に建設する過程で、中国はまずは国内エネルギー資源に立脚し、エネルギー構造の最適化に力を入れ、供給能力の引き上げに取り組んでいる。

中国のエネルギー資源開発の潜在力は比較的大きい。発見した石炭資源は埋蔵量の13%にすぎず、可採埋蔵量は判明した資源量の40%である。水力資源の開発利用量は20%にすぎない。探査し明らかになった石油資源は埋蔵量の33%であり、探査の中期に入っているが依然として大きな潜在力がある。探査された天然ガス資源は14%で、まだ探査の初期であり、資源の前途は洋々である。非在来型エネルギー資源はまだ開発利用の初期にあり、開発潜在力はかなり大きい。再生可能エネルギーの開発利用もスタートしたばかりで、発展の将来性はきわめて大きい。資源節約、総合利用、リサイクルなどの面においても、見通しが非常によい。

中国がエネルギー供給能力を高めるためにとる措置は次の通りである。

――石炭を計画的に発展させる。石炭は中国の基礎エネルギーである。供給能力を上げ、エネルギー構造を最適化し、炭鉱の安全を保障し、環境汚染を減らし、資源の利用効率を高め、新しいタイプの石炭工業システムを構築することは、国民経済の発展を保障する上で差し迫った課題である。中国は石炭資源に対する探査力を強化し、大型石炭基地の全面的な資源調査と地質に対する詳細探査を支持し、商業的な探査を規範化し、資源の保障水準を高め、大型石炭基地建設を着実に推し進める。企業の併合と再編を通じて、億トン級の生産能力を備えたいくつかの大型企業集団をつくる。石炭資源の開発・整合を引き続き推し進め、中小炭鉱を調整し改造し、産業政策に合致せず、安全な生産条件を備えず、資源浪費と環境破壊的な小炭鉱を法に基づき閉 ・し、淘汰し、石炭産業の構造をさらに最適化する。関係産業との協調発展を促進し、石炭・電力の連合経営あるいは石炭・電力・輸送の一体化経営の実行を奨励し、石炭産業チェーンを拡大する。炭鉱の機械化レベルと石炭採掘の総合機械化水準を高め、石炭のクリーン生産と利用を推し進め、クリーン石炭技術の開発と普及を奨励し、代替可能な液体燃料の研究とモデル作成を加速させる。循環型経済を積極的に発展させ、環境保全を強化し、資源の総合利用を促進し、炭層ガスの産業化の発展を加速させる。石炭輸送システムの建設を強化し、輸送能力を着実に高める。安全生産責任制を確立し、炭鉱の安全対策改造とガス防止対策を強化し、安全生産の水準を引き続き高める。

――電力を積極的に発展させる。電力は高効率でクリーンなエネルギーであり、経済的、高効率的、安定的電力供給システムを確立することは、国民経済と社会の安定発展を保証するための基本的な条件である。中国は構造調整を本筋として電力資源構造を最適化することを堅持する。資源、技術、環境保全、市場などの要素を総合的に勘案した上で、石炭電力を優先的に発展させ、大型石炭発電基地を建設し、坑口発電所を発展させることを奨励し、大型で高効率なエコユニットを重点的に発展させる。コジェネレーション・システムを積極的に発展させ、立ち後れた小さい火力発電ユニットの淘汰を加速させる。生態を保全し、住民の移住問題を適切に解決する条件の下で、水力発電を力を入れて発展させる。原子力発電の建設を積極的に推し進める。天然ガス発電を適切に発展させる。再生可能エネルギーと新エネルギーで発電することを奨励する。地域と送配電網の建設を強化し、「西電東送」の規模を拡大する。電力の統一計画と管理を実行し、電力安全応急システムを確立し健全にし、電力システムの安全性と信頼性を高める。引き続き電力需要側の管理に力を入れ、省エネ管理を実行し、エネルギー利用の効率アップをはかる。

――石油・天然ガスの開発事業を推進する。中国は引き続き石油と天然ガスを並行して開発する方針をとり、原油生産量の安定した増加をはかり、天然ガス生産量の拡大に取り組む。石油・天然ガス資源の探査・開発に大いに力を入れ、渤海湾、松遼、塔里木(タリム)、鄂爾多斯(オルドス)など石油・天然ガスが埋まっている主な盆地の探査・開発に力点を置き、陸地の新地域や新分野、新しい油層・ガス層、重点海域の探査を積極的に推 ・進め、可採埋蔵量を着実に増やす。主な石油産地の潜在力を十分に引き出し、生産の安定をはかりながら改造を行い、採掘率(採掘可能な原油が実際の埋蔵量に占める割合)を向上させ、老朽油田の生産量の減衰を遅らせる。経済の合理的な条件の下で、炭層ガスやオイルシェール、オイルサンドなどの非在来型エネルギーを積極的に開発する。石油・天然ガスのパイプラインネットワークや関連施設の建設を引き続き加速させ、全国の石油・天然ガスパイプラインネットワークをちくじ健全なものにする。

――再生可能エネルギーの発展に力を入れる。中国は再生可能エネルギー分野を優先的に発展させている。再生可能エネルギーを開発し利用することは、エネルギー供給を増大させ、エネルギー構造を改善し、環境保全を促進するために重要な役割を果たし、エネルギーの需給問題を解決し、持続可能な発展を実現するための戦略的選択である。中国は『再生可能エネルギー法』を公布し、再生可能エネルギーによる発電の電力網との連結を優先させ、全額、優遇価格で買い取り、コストを社会分担させるなどの政策を制定した。再生可能エネルギー事業の発展のための特定資金を設立し、資源調査や技術研究開発、モデル工事の試行、農村部における再生可能エネルギーの開発利用をサポートしている。『再生可能エネルギー中長期発展計画』を公布し、2010年までに再生可能エネルギーの消費量をエネルギー消費総量の10%、2020年までに15%に到達させるという発展目標を掲げた。中国は水力発電流域の階段状の総合開発を推し進め、大規模な水力発電建設に力を入れ、現地に合った中小型の水力発電を開発し、実情に合わせて揚水発電所を建設する。太陽熱エネルギー、メタンガスなどの成熟した技術を普及させ、市場シェアを拡大する。風力発電、バイオマス発電、太陽熱エネルギー発電などの技術を積極的に利用し、いくつかの100万キロワット級の風力発電基地を建設し、スケール化によって産業化を牽引する。再生可能エネルギー発展への支援策や関連政策を積極的に実行し、安定して持続的に成長する再生可能エネルギー市場を育み、再生可能エネルギー産業のシステム、市場およびサービスシステムをちくじ確立し、健全なものにし、再生可能エネルギー技術の進歩や産業の発展を推し進める。

――農村部におけるエネルギー事業の展開に力を入れる。中国の農村部には7億5000万人が住んでおり、経済や技術が未発達なため、多数の農村地域において伝統的なバイオマス利用がまだ存在している。農村部におけるエネルギー問題の解決は社会主義新農村を建設するための必然的な要請でありながら、中国の特殊問題の一つでもある。中国政府は「現地に適した措置の実施、多種類のエネルギーの相互補完、総合利用、実効重視」という原則をふまえて、農村部におけるエネルギー事業の展開に力を入れている。中国は「光明プロジェクト」(クリーンで環境指向型の高効率・低コストエネルギー変換技術を活用し、西部地域に電力を供給するプロジェクト)、「農村の電力ネットワーク改造」、「水力発電による農村の電気化」、「農村への送電」を実施すると同時に、小型水力発電、風力発電、太陽熱エネルギー発電を活用して、農村部の生産用エネルギー・生活用エネルギー条件を改善し、農村部における3000余万人の無電化人口が電気を利用でき、僻地の無電化地域には電気が通じ、都市部と農村部との電力網・電気料金の同一化を基本的に実現した。中国は引き続き農村部の家庭用のメタンガス、バイオマス利用、太陽熱エネルギー利用などを積極的に推し進め、農村地域にクリーンな生活用エネルギーを提供する。薪節約型かまど・オンドル、小型風力発電、マイクロ水力発電など農村部の小型エネルギー施設の利用を引き続き広める。農村部への良質な化石エネルギーの供給を引き続き増やし、商品エネルギー(石炭、電気、石油、ガスなど)消費のウェートを高める。農村部における電力網の構築に引き続き力を入れ、電力網のカバー範囲を積極的に拡大する。クリーンエネルギー使用のモデル県の建設を積極的に推し進め、農村部における再生可能エネルギーの開発利用に取り組む。

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