八、エネルギー分野における国際協力を強化する
中国の発展は世界から離れられず、世界の繁栄は中国を必要としている。経済グローバル化の深化に伴い、中国はエネルギー発展において世界との関係を緊密化しつつある。中国のエネルギー発展は自国の経済社会発展の需要を満たすだけでなく、世界各国にも発展のチャンスをもたらし、発展の場を拡大した。
中国は国際エネルギー協力に積極的に参与している。多角協力の面では、中国はアジア太平洋経済協力機構(APEC)エネルギー作業部会、アセアンと中日韓(10+3)エネルギー協力、国際エネルギーフォーラム、世界エネルギー大会およびクリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップの正式メンバーであり、エネルギー憲章のオブザーバーであり、国際エネルギー機関(IEA)、石油輸出国機構(OPEC)などの国際機構と密接なつながりを持っている。二国間協力の面では、中国はアメリカ、日本、欧州連合(EU)、ロシアなど数多くのエネルギー消費国や生産国とエネルギー対話メカニズムや協力メカニズムを構築し、エネルギー開発、利用、技術、環境保全、再生可能エネルギー、新エネルギーなどの分野において対話・協力を強化し、エネルギー政策、情報データなどの面で意思疎通し、幅広い交流を行っている。国際エネルギー協力において、中国は広範囲の国際義務を担いながら、積極的、建設的な役割を果たしている。
中国は対外開放に関する法律・政策を積極的に整備し、『中外合資経営企業法』『中外合弁経営企業法』『外資企業法』を相次いで公布し、公平かつ開放的な外国企業投資環境を作り出すことに努めている。2002年に『外国企業投資方向指導規定』を制定し、2004年に『外国企業投資産業指導目録』『中西部地区外国企業投資優勢産業指導目録』を改訂し、外国企業がエネルギーおよび関連の採掘、生産、供給、運輸分野への投資、設備製造産業、中西部地区エネルギー産業への投資を奨励している。
――石油・天然ガス資源の探査・開発における対外協力を健全化させる。中国は石油・天然ガス資源分野において製品歩合契約を基礎とする対外協力パターンを実行している。2001年、中国は改訂された『海洋石油資源対外協 ・採掘条例』『陸地石油資源対外協力採掘条例』を公布し、共同採掘に参与する外国企業の合法的権益を法によって保護している。外国企業が石油・天然ガスのリスク探査、低浸透石油・天然ガスの貯留トラップ(油田・ガス田)、旧油田の採掘率向上など石油探査・開発分野における協力に参与するよう奨励する。外国企業が石油・ガスパイプライン、石油・ガス備蓄倉庫および専用埠頭の建設や経営に投資するよう奨励する。
――外国企業による非在来型エネルギー資源の探査・開発への投資を奨励する。2000年、中国は『外国企業による石油・天然ガス以外の資源探査・開発への投資に関するいくつかの意見』を公布し、石油・天然ガス以外の資源の探鉱権、採鉱権市場をいっそう開放した。外国企業が中国域内において独資でまたは中国側と協力してリスク探査を行うことを許可する。外国企業による共生鉱、随伴鉱の採掘回収、選鉱くず利用、西部地区における鉱産資源の採掘への投資などに対し、鉱産資源補償費減免という優遇策を与える。外国企業による石油・天然ガス以外の資源探査・開発への投資に対する管理をいっそう改善し、よりよいサービスを提供する。
――外国企業による発電所などエネルギー施設への投資や経営を奨励する。中国は外国企業が電力、石炭ガスの生産・供給に投資することを奨励する。単機容量60万キロワット以上の火力発電、石炭のクリーン燃焼による発電、コジェネレーション、発電を主とする水力発電、中国側が持ち株会社である原子力発電への投資、および再生可能エネルギー発電と新エネルギー発電などを扱う発電所の建設や経営への投資を奨励する。外国企業が一定規模以上の容量の火力発電、水力発電、原子力発電、火力発電脱硫技術および設備製造に投資することを奨励する。外国企業の石炭パイプ輸送施設の建設や経営への投資を奨励する。
――外国企業の投資環境をいっそう最適化する。中国政府は世界貿易機関(WTO)加盟時に交わした承諾事項により、エネルギー管理において世界貿易機関の規則に合致しない行政法規・部門規則を整理した。世界貿易機関の要請に基づき、透明性をはかり、公益性のある地質資料の公開度を高めた。さらにエネルギー政策の対外発表をいっそう強化し、エネルギーデータの統計システムを健全化させ、エネルギー統計データを速やかに発表し、エネルギー政策や統計データ、資料情報の公開や透明性を確保する。
――外国企業の投資分野をいっそう拡大する。中国は外国企業がエネルギー資源へ投資し、それを開発利用するように導き、外国の先端技術や管理方式、高資質人材の導入を重要視している。投資分野において化石エネルギー資源から再生可能エネルギー資源へ、探査開発分野を重視することからサービス貿易を大きく発展させることへ、主に外国からの貸借や外国の直接投資に依存することから国際資本市場を直接利用することへの転換にいっそう力を入れる。
エネルギーの国際貿易は今後かなり長い期間において、中国が外国のエネルギーを利用する主な方式である。中国は国際エネルギー貿易を積極的に拡大し、国際エネルギー市場における相互補完的なメリットを増大させ、国際エネルギー市場の安定を維持する。世界貿易機関の規則や世界貿易機関加盟時の承諾事項に基づき、エネルギーの輸出入取引を展開し、公平取引に関する政策を健全なものにする。原油の現物取引の比重が大きすぎる現状をちくじ改め、外国企業と商品供給の長期契約を締結することを奨励し、取引ルートの多元化を促す。条件のある企業による対外直接投資や多国籍経営を支持し、企業が国際慣例や市場経済原則に従ってエネルギー国際協力に参与し、境界外のエネルギーインフラの建設に参与し、エネルギープロジェクトにおける技術サービス協力を着実に進める。
エネルギーの安全保障はグローバルな問題であり、どの国にもエネルギー資源を合理的に利用して自国の発展を進める権利があり、大多数の国は、国際協力なくしてエネルギーの安全保障を獲得することはできない。世界経済の秩序ある安定した発展を実現するため、国際社会が経済グローバル化をバランスのとれた、恩恵があまねく行きわたる、ウィン・ウィンの方向へ推し進め、互恵協力、多元化した発展、協同保障を理念とした新しいエネルギー安全保障観を打ち立てなければならない。近年らい、国際市場の石油価格は大幅に変動し、世界経済の発展に影響を与えている。その原因は複雑に絡み合っており、国際社会は対話や協力を深め、共同して多方面からそれを解決しなければならない。世界のエネルギー安全保障を確保するために、中国は国際社会が次の3点に重点をおいて努力していくべきだと主張する。
――エネルギー開発利用の互恵協力を強化する。世界のエネルギー安全保障を実現するため、エネルギー輸出国と消費国間の、また消費国同士の対話や協力を強化しなければならない。国際社会はエネルギー政策面で協議や協調を強め、国際エネルギー市場の監視・観測メカニズム、緊急対応メカニズムを整え、石油・天然ガス資源の開発促進によって供給を増やし、エネルギー供給の国際化、多元化を実現し、安定した持続可能な国際エネルギー供給を確保し、合理的なエネルギー価格を保ち、各国のエネルギー需要を満すべきである。
――先進的エネルギー技術の研究開発・普及システムを確立する。省エネ、エネルギーの多元的発展を促すことは世界エネルギー安全保障を実現する遠大な計画である。国際社会は省エネ技術の研究開発・普及に大いに力を入れ、エネルギーの総合利用を推し進め、各国のエネルギー利用効率向上をサポートし、促進すべきである。クリーン石炭技術など化石燃料の高効率利用技術における協力を積極的に提唱し、再生可能エネルギーや水素エネルギー、原子エネルギーなどの重要なエネルギーの技術協力を推し進め、クリーン・経済的・安全・高信頼性の世界未来エネルギー供給システムの構築を模索すべきである。国際社会は人類社会の持続可能な発展という広い視野に立って、資金投入、知的財産権保護、先端技術普及などの問題に対処し、あらゆる国が利益を受け、人類進歩の成果を享受できるようにすべきである。
――安全で安定したよい政治的環境を維持する。世界平和と地域安定を維持することは、世界のエネルギー安全保障を確保する前提条件である。各国が手を携えて、エネルギー生産国と輸送国、特に中東などの産油国地域の情勢の安定を守り、国際的なエネルギールートの安全性と滞りなく通じることを確実にし、地縁的政治紛争によって世界のエネルギー供給が妨害されることを避けるよう努力すべきである。各国は意見の不一致や争いごとは対話と交渉によって解決し、エネルギー問題を政治問題化すべきではなく、武力に訴え、さらに対立を招くことを避けなければならない。
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