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政府白書  
中国のエネルギー現況と政策

 

一、エネルギー発展の現状

エネルギー資源はエネルギー発展の基礎である。新中国成立いらい、エネルギー資源の探査能力をたえず強化し、何回も資源アセスメントを組織し展開した。中国のエネルギー資源は次の特徴がある。

――エネルギー資源の総量は比較的豊かである。中国は比較的豊かな化石エネルギー資源を有している。中では石炭が主導的な地位を占める。2006年現在、石炭保有量は1兆345億トンであり、判明している採掘可能な埋蔵量は世界の約13%を占め、世界第3位である。実証された石油、天然ガス資源の埋蔵量は相対的に少ないが、オイル・シェール、炭層ガスなど非在来型化石エネルギーの埋蔵量は比較的大きな潜在力を秘めている。中国は比較的豊かな再生可能なエネルギー資源を有している。理論上の包蔵水力資源量は年間発電量に換算して6兆1900億キロワット時に相当し、経済的に開発可能な水力資源の年間発電量は約1兆7600億キロワット時であり、これは世界水力資源の12%に相当し、世界1位にランクされる。

――一人当たりのエネルギー資源保有量は比較的低い。中国の人口は多く、一人当たりのエネルギー資源の保有量は世界でかなり低いレベルに位置する。石炭と水力資源の一人当たりの保有量は世界平均水準の50%で、石油、天然ガスの一人当たりの資源量は世界平均水準の約15分の1にすぎない。耕地資源は世界一人当たり水準の30%に満たず、バイオマスエネルギーの開発を制約した。

――エネルギー資源の分布は不均衡である。中国のエネルギー資源は広く分布しているが、不均衡である。石炭資源は主に華北、西北地域に分布し、水力資源は主に西南地域に分布し、石油、天然ガス資源は主に東部、中部、西部地域と海域に集中している。中国の主なエネルギー消費地域は東南沿海の経済発達地域に集中し、資源埋蔵地とエネルギー消費地がはっきり異なる。大がかりな長距離の「北煤南運」(北部の石炭を南部に送る)、「北油南運」(北部の石油を南部に送る)、「西気東輸」(西部のガスを東部に送る)、「西電東送」(西部の電力を東部に送る)は、中国のエネルギーフローの際立った特徴でありエネルギー輸送の基本的な構造である。

――エネルギー資源開発の難度は比較的大きい。世界と比較し、中国の石炭資源の地質学的な採掘条件はあまりよくなく、埋蔵量のほとんどは坑道採掘を行わなければならず、露天採掘はごく一部である。石油・天然ガス資源の地質条件は複雑で、深く埋蔵し、高い探査開発技術を必要とする。未開発の水力資源はほとんど西南部の高山や深い峡谷に集中し、消費中心地から遠く離れ、開発難度とコストがかなり大きい。非在来型エネルギー資源の探査レベルが低いため、経済性も悪く、競争力が足りない。

改革開放いらい、中国のエネルギー工業は急速な発展をとげ、国民経済の迅速かつ持続的な発展を確保する上で大きく貢献した。主に次の諸方面に表れている。

――供給能力が明らかに向上した。数十年にわたる努力により、中国は石炭を主体とし、電力を中心とし、石油・天然ガスと再生可能エネルギーが全面的に発展するエネルギー供給構造を初歩的に形成し、基本的に比較的整っ ・エネルギー供給システムを確立した。一群の年産千万トン級の超大型炭鉱を建設した。2006年の一次エネルギーの生産総量は22億1000万トン(標準炭)で、世界2位であった。原炭生産高は23億7000万トンで、世界1位にランクされた。大慶、勝利、遼河、塔里木(タリム)などいくつかの大型石油生産基地が前後して建設され、2006年の原油生産高は1億8500万トンに達し、穏やかな成長を実現し、世界5位にランクされた。天然ガスの生産高は急速に増大し、1980年の143億立方メートルから2006年の586億立方メートルに増加した。一次エネルギーの中で商品化された再生可能エネルギーの比率が徐々に高まっている。電力の発展は迅速であり、ユニット容量と発電量はそれぞれ6億2200万キロワット、2兆8700億キロワット時で、いずれも世界2位にランクされた。エネルギーの総合輸送システムの発展は比較的速く、輸送能力が目ざましく拡大された。「西煤東運」(西部の石炭を東部に送る)の鉄道専用線路および港湾・埠頭の建設、「北油南運」のパイプネットワークの構築、「西気東輸」幹線の建設、「西電東送」と区域電力ネットワークの相互連結を実現した。

――省エネ効果は著しい。1980~2006年、中国のエネルギー消費は年間平均5.6%増で、国民経済の年間平均9.8%成長を支えた。2005年の不変価格で計算すると、1万元の国内総生産(GDP)のエネルギー消費は1980年の3.39トン(標準炭)から2006年の1.21トン(標準炭)に減少し、年平均省エネ率は3.9%となった。近年らい、国内総生産単位当たりエネルギー消費の上昇傾向を逆転させた。エネルギーの加工、転換、備蓄・輸送、末端利用の総合効率は33%で、1980年と比べ、8%上昇した。製品の単位当たりエネルギー消費は明らかに下がっており、鋼鉄、セメント、大型合成アンモニアなどの製品における総合エネルギー消費および電力供給用の石炭消費は、国際先進レベルとの格差を引き続き縮小している。

――消費構造はある程度最適化された。中国のエネルギー消費はすでに世界2位となっている。2006年の一次エネルギー消費総量は24億6000万トン(標準炭)であった。中国はエネルギー消費構造の最適化を重視している。一次エネルギー消費中の石炭比率を1980年の72.2%から2006年の69.4%まで引き下げ、他のエネルギーの占める比率を27.8%から30.6%に上昇させた。そのうち再生可能エネルギーと原子力発電の比率を4.0%から7.2%にアップさせ、石油と天然ガスをある程度 揩竄・た。末端エネルギーの消費構造の最適化の趨勢も顕著で、石炭エネルギーの電力転換比率が20.7%から49.6%に上昇し、民生用エネルギーの中で商品エネルギーとクリーンエネルギーが占める比率も著しく上昇した。

――科学技術レベルは急速に上昇した。中国のエネルギー科学技術は著しい成果をとげ、「陸相成油理論と応用」を代表とする基礎研究成果は、石油地質科学技術理論の発展を大いに促した。石油・天然ガス工業はすでに比較的完備した探査開発技術システムを形成し、とりわけ複雑な地質域の探査と開発、油田の採油率の向上などの技術は世界のトップの地位に立つ。石炭工業は国際的な先進レベルを有する一連の大型縦坑を建設し、重点炭鉱の石炭採掘の総合的な機械化レベルが著しく上昇した。電力工業の面では、先進的な発電技術と大容量でパラメーターの高いユニットが広く用いられ、水力発電所の設計、施工技術、設備製造などの技術は世界の先進レベルに達した。原子力発電は初歩的に100万キロワット級加圧水型原子炉(PWR)の自主設計と建設能力を備え、高温ガス冷却炉(HTGR)、高速増殖炉(FBR)の技術開発も大きく進展した。排煙・排気ガスの脱硫などの汚染の防止・処理、再生可能エネルギーの開発利用技術も急速に向上している。正負500キロボルト直流と750キロボルト交流の送電実験プロジェクトが相次いで建設され、操業開始され、正負800キロボルト直流と1000キロボルト交流の超高電圧の送電実験プロジェクトもスタートしている。

――環境保全は進展をとげた。中国政府は環境保全をきわめて重視し、環境保全強化を基本国策とし、社会各界の環境保全意識も格段に高まっている。1992年国連環境開発会議(UNCED)の後、中国は『中国21世紀議事日程』を組織し制定し、また法律、経済などの手段を総合的に運用し環境保全を全面的に強化し、積極的な進展をとげてきた。中国のエネルギー政策のポイントも、エネルギー開発利用の過程で引き起こされる環境破壊、環境汚染を減らし、効果的に処理することにある。2006年、石炭利用による発電ユニットの除塵設備取り付け率、廃水排出基準達成率はいずれも100%近くを達成し、煙塵排出総量は1980年とほぼ同じに抑え、電量の単位当たりの煙塵排出を90%下げた。2006年、全国に建設し操業開始した脱硫式火力発電ユニット容量は1億400万キロワットに達し、これまで10年間の総量を上回った。火力発電ユニット総数に占める脱硫設備付き火力発電ユニッ g比率は2000年の2%から30%に向上した。

――市場環境はちくじ改善されている。中国のエネルギー市場環境はちくじ健全化され、エネルギー工業の改革が着実に進行している。エネルギー企業の再編は飛躍的な進展をとげ、現代的な企業制度が基本的に確立された。投資主体が多元的になり、エネルギー投資が急速に増大し、市場規模が引き続き拡大している。石炭工業の生産と流通は市場化を基本的に達成した。電力工業は政府と企業との分離、メーカーと送電ネットとの分離を実現し、監督・管理機構を設立した。石油・天然ガス工業は原油生産・精製・石油化学の一体化、内外貿易の一体化を基本的に実現した。エネルギー価格改革が続行され、価格メカニズムの改善が進められている。

急速に発展する中国経済と工業化、都市化の加速につれ、エネルギー需要が引き続き増大するなか、安定した、経済的で清潔、安全なエネルギー供給システムの構築は重大な挑戦を受けている。とりわけ次の諸点に現れている。

――資源の制約が目立ち、エネルギー効率が低めである。中国の良質エネルギー資源は相対的に不足しており、供給能力の引き上げを制約している。エネルギー資源の分布が不均衡なため、持続的に安定供給する難度も増大している。経済成長が粗放的、エネルギー構造が不合理、エネルギーの技術装備レベルが低い、管理水準の相対的な立ち後れなどが、国内総生産の単位当たりエネルギー消費と主要製品のエネルギー消費率を主要エネルギー消費国の平均水準より上回らせ、エネルギー供給と需要の矛盾をさらに激化させている。エネルギー供給の増大に頼るだけでは、持続的に増加する消費の需要を満たすことは難しい。

――エネルギー消費を石炭に頼り、環境負担が大きくなっている。石炭は中国の主なエネルギーであり、このエネルギー構造はかなり長期にわたり変えられない。相対的に立ち後れた石炭の生産方法と消費方法が環境保全の負担を増やしている。石炭消費が煤煙型大気汚染を引き起こす主要因であり、温室ガス排出の主な源でもある。中国の自動車保有量の急速な増加につれ、一部の都市の大気汚染はすでに煤煙型と自動車排出ガスの混合型汚染になった。もしこの状況が続いていくならば、生態環境にさらなる圧力をもたらす。

――市場システムが完全ではなく、緊急対応能力をさらに強化しなければならない。中国のエネルギー市場システムをさらに整備しなければならず、エネルギー価格メカニズムはま ・資源の不足状況、需給関係、環境コストを完全に反映していない。エネルギー資源の探査・開発秩序に対してさらなる規範が必要であり、エネルギー監督・管理システムを健全化しなければならない。炭鉱の生産には安全を欠くものがかなり多く、電力ネットワーク構造は不合理で、石油の備蓄能力は不足しており、エネルギー供給の中断と重大な突発事件に効果的に対応する早期警告応急システムをいっそう整備し、充実させなければならない。

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