本誌記者 陳ラン
「手工芸農村――山東省農村文化産業調査研究成果展」が1月9~18日、北京の中国美術館で行われた。この展覧会は同プロジェクトの主宰者で山東省文学芸術界聯合会(文聯)主席・山東工芸美術学院の院長である潘魯生教授がこれまで従事してきた民芸学研究とフィールド調査に基づいて展開されており、農村手工芸の現状と農村文化産業の発展への関心を高めることを目指している。濰坊楊家埠の凧や年画、荷沢甄城の手織り木綿、荷沢巨野の密画、臨沂・臨沭の柳細工などの展示物はすべて農民が手作りしたものである。
中国美術館で取材を受ける潘魯生教授(陳ラン撮影)
この30年の間に、潘魯生氏は相前後して285の伝統的手工芸の村を調査し、1000人余りの民間手工芸の職人を取材し、121の伝統的手工芸を記録し、1000万字の文字資料を整理し、中国「手工芸学」という学科の創立を提起した。
成果展の会場において、同プロジェクトの意義と農村文化産業の発展などの問題について、北京週報は潘魯生教授に独占インタビューした。
潘魯生氏へのインタビューの内容は次の通り。
――「手工芸農村」プロジェクトの主宰者として、この成果展が中国美術館で行われる意義について、どうお考えでしょうか。
「手工芸農村」は中国美術館の新年初の大規模展覧会として、2つの重要な意味を持っています。第1に、この5年来の調査チームの山東省における文化産業に対する調査研究の成果を展示します。第2に、社会各分野に山東省の農民の手工芸を紹介します。伝統的手工芸が依然として民間で広く伝わっており、現代の生活でもなお重要であることを人々に理解してもらうのです。
私たちのプロジェクトは十分な調査研究を行ってきました。これほど多くの手工芸職人の創造した価値と社会的意味は広く認知されるべきです。
――潘教授は 農民手工芸の発展に関して、地域資源優位性の発揮による手工芸支柱産業の発展、伝統的手工芸資源の発揮による現代生活スタイル革新、手工芸産業チェーンの整備による手工芸ブランド戦略の実施など、8項目の提案を出しました。これらの提案の出発点について紹介していただけますか。
提案は主に政府、学界、大学の3つの面から出しました。まず、非物質文化遺産(無形文化財)の種を保護し、それが新たな時代で発展していけるようにする。これもこの展覧会を催した初志です。
それ以外に、手工芸はある程度の規模をもつ産業であるため、それに応じていくつかのブランドの支持が必要です。このようなブランドの育成は学界、教育界、設計界が共に進めることが必要です。これによって、手工芸産業と農民の創造した財産はさらに大きな価値を得ることができます。
また、私たちは文化伝承の問題も打ち出しました。政府の非物質文化遺産保護の下、文化産業が民族文化に溶け込む必要のある時代に、手工芸産業はプラスの役割を発揮すべきです。これについて、経済学者、社会学者、デザイナー及び政府が共同で取り組む必要があります。
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