三 省エネを全面的に推し進める
中国は人口が多く、資源が相対的に不足する発展途上国である。経済社会の持続可能な発展を実現するには、資源節約の道を歩まなければならない。中国が計画的、組織的に省エネ活動を展開したのは1980年代の初めからで、「開発と節約をともに行い、節約を首位に置く」方針を貫徹して、20世紀末には経済成長が4倍増、エネルギー消費が2倍増になる目標を実現した。省エネを引き続き深く推し進めるため、中国政府はさらに資源節約を基本国策とすることを提出し、『国務院の省エネ活動の強化に関する決定』を発表した。中国政府は終始、省エネをマクロコントロールの主要内容とし、それを発展パターンの転換、構造の最適化の突破口とポイントにしている。省エネ・排出削減を推し進める活動の中で、「6つの依拠」を行う。?構造調整に依拠する。これは省エネ・排出削減の根本的方法である。?科学技術の進歩に依拠する。これは省エネ・排出削減のカギである。?管理強化に依拠する。これは省エネ・排出削減の重要な措置である。?法律制度の強化に依拠する。これは省エネ・排出削減の重要な保障である。?改革の深化に依拠する。これは省エネ・排出削減の内在的な動力である。?全国民の参加に依拠する。これは省エネ・排出削減の社会的基礎である。『省エネ中長期特定項目計画』を制定、施行し、「十一・五」期間にエネルギー消費低減目標を確定し、同時に省エネ任務を各省・自治区・直轄市および重点企業に具体的に履行させる。中国はいま国内総生産とエネルギー消費指標システムを整備しつつあり、エネルギー消費を各地の経済社会発展の総合評価や年度考課の中に取り入れ、国内総生産単位当たりエネルギー消費指標公報制度を実行し、省エネ目標責任制と問責制を実施し、省エネ型産業システムを構築し、経済発展パターンの根本的な転換を促進している。
省エネは中国が資源の制約を緩和する現実的な選択である。省エネを推し進めることは、中国の経済社会発展の長期にわたるきわめて困難な戦略任務である。中国は政府主導のもと、市場を基礎とし、企業を主体とし、社会全体の共同参与により、省エネを全面的に推し進めることを堅持する。中国はエネルギー効率の向上を核心とし、経済発展パターンの転換、経済構造の調整、技術進歩の加速を根本とし、エネルギー資源節約型の産業構造、発展パターン、消費パターンを構築する。省エネ型産業システムを確立し、省エネ目標責任 ・と評価・考課システムを履行する。省エネ技術の普及メカニズムを完全なものにし、省エネ技術と製品の開発を奨励する。エネルギー体制改革を深化させ、エネルギー価格の形成メカニズムを整備し、財政・租税収入などの経済政策による省エネ促進作用を十分に発揮させる。
中国は以下のような対策により省エネを全面的に実行する。
――構造調整を推し進める。長年来、中国のエネルギー効率の低さの主因は経済成長パターンが粗放型で、エネルギー消費の高い産業比率が高すぎることにある。中国は発展パターンの転換、産業構造と工業内部構造の調整を省エネの戦略重点とすることを堅持し、「低投入、低消耗、低排出、高効率」の経済発展パターンの確立に力を入れる。中国は産業構造の最適化・グレードアップを加速させ、ハイテク産業とサービス業の発展に力を入れ、エネルギー消費が高く、材料消費が高く、水消費が高い産業の発展を厳しく制限し、立ち後れた生産能力を淘汰し、経済発展パターンの根本的転換を促進し、省エネ型産業システムの構築の加速に取り組む。
――工業の省エネを強化する。工業は中国のエネルギー消費の重点分野である。中国は科学技術レベルが高く、経済効果がよく、資源消費が低く、環境汚染が少なく、人的資源が十分に発揮される新型工業化の道を歩むことを堅持し、ハイテク産業の発展を加速させ、ハイテクと先進アプリケーション技術を運用して伝統産業を改造し、工業全体のレベルを高める。鉄鋼、非鉄金属、石炭、電力、石油・石油化学、化学工業、建材などエネルギー消費が高い業種の省エネ・消費削減を重点的に強化する。中国は企業1000社の省エネキャンペーンを実施し、年間エネルギー消費1万トン以上(標準炭)の工業企業の省エネ管理を重点的に強化する。製品構造を調整し、技術改造を加速し、管理レベルを高め、エネルギー消費を削減させる。省エネ・消費削減の一連の重点項目およびモデル項目をサポートし、工業がエネルギー効率を高めるよう促す。工業のエネルギー効率基準と規範をさらに整備し、エネルギー消費が高く、立ち後れた製品を強制的に淘汰し、エネルギー効率市場の認可制度を完全なものにする。
――省エネプロジェクトを実施する。中国は石油節約・代替石油、コジェネレーション・システム、余熱利用、省エネ建築など十大重点省エネプロジェクトを実施中で、省エネの重点項目およびモデル項目の建設を支持し、高効率の省エネ製品の普及・応用を奨励している。中国は省エネ・土地節約型建築の発展に力を入れ、既存建築の省エネ改造を積極的に進め、新型カーテンウォール材を幅広く使用する。石油の節約と代替石油のプロジェクトを実施し、代替燃料を科学的に発展させる。老朽化した自動車や船舶の廃棄を加速させ、公共交通を積極的に発展させ、燃費が高い自動車を制限し、省エネ・エコ型自動車の発展に取り組む。石炭燃焼工業用ボイラー(窯炉)の改造、地域コジェネレーション・システム、余熱と余剰電圧の利用などを加速させ、エネルギー利用効率を高める。電機の省エネとエネルギーシステムの最適化をはかり、電機の運転とエネルギーシステムの効率を高める。グリーン照明プロジェクトを実施し、高効率電器の普及を加速させる。農村の燃料節約型かまどや省エネ住宅技術を広く行き渡らせる。エネルギー消費が高い老朽農業機械や漁船を廃棄し、農業と農村の省エネを推し進める。政府機関の省エネを強化し、政府が社会に対し省エネの手本を示す。省エネの監視測定と技術サービスシステムの建設を加速させ、省エネ監視測定を強化し、サービスのプラットホームを革新する。
――省エネの管理を強化する。中国政府は政府買付に省エネ製品の購入を義務付ける制度を確立し、省エネ(節水も含まる)製品の優先購入を積極的に推し進め、省エネ効果が著しく、性能が比較的安定した製品を選択し、強制的に購入させる。政府買付の政策誘導的役割を積極的に活用し、社会での省エネ製品の生産と使用を促進する。省エネを奨励する財税政策を研究制定し、資源総合利用の租税優遇政策を実施し、多ルートの省エネ融資メカニズムを確立する。エネルギー価格改革を深化させ、省エネに有利な価格形成メカニズムをつくる。固定資産投資項目の省エネ評価と審査制度を実施し、増大するエネルギー消費の源を厳しく抑える。企業の新しい省エネメカニズムを確立し、エネルギー効率のラベリング管理を実施し、契約ベースによるエネルギー管理と省エネの自主規制取り決めを推し進める。省エネの法律・法規を整備し、法による省エネ管理を強化する。省エネ管理陣の建設を強化し、法律執行・監督検査の度合いを大きくする。
――社会に省エネを訴える。中国は多種類の形式を採用し大々的に省エネの重要な意義を宣伝し、全国民に資源問題の深刻さと節約意識を強力に自覚させる。エネルギー節約の文化を唱え、健康、文明、節約の消費パターンを懸命に形成する。省エネを基礎教育、職業教育、高等教育、技術育成システムに取り入れ、報道・刊行物、放送・映画・テレビなどのメディアを通じ、省エネ知識を大いに宣伝し普及させる。省エネ宣伝週間キャンペーンを継続して展開し、社会各界を動員して幅広く参加させ、社会全体に省エネの長期的効果のあるメカニズムを構築するよう努力させる。
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