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◇謝謝!南大卒業生のみなさん◇
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元南京大学日語科教師・斎藤文男 · 2018-04-23 |
タグ: 南京大学;卒業生;中日交流 | 印刷 |
◇散る花を見て「自己嫌悪」から脱出◇
私は学生の感想文を披露しただけなので、その学生が賞賛されたのだと思う。
彼女にこのことをメールで報告したら、次のような返信が届いた。
≪今年は成都も暖かくなるのが早くて、花の散る時季になっています。昔は花の散るのを見ると悲しくなりました。でもここ数年は違います。先生は昔、授業でこう言いました。『花は風に吹かれても、雨に打たれても使命を果たさない限り散らない。受粉して使命をきちんと果たした後に散るのです。』≫
≪その後は散っていく花びらをみるたびに、先生のその言葉を思い出します。すると悲しいどころか、『そうか、自分の役目を見事に果たしたのね。頑張ったね』と思い、むしろ微笑ましい気持ちになりました。不思議ですね。≫
テレビの液晶パネルを製造する会社に就職して、通訳の仕事を主にやっている彼女は、難しい専門用語がたくさん出てくるため、思うように仕事が出来ず自己嫌悪に陥っていた。しかし「自分の失敗を許せないのは、自分を過大評価しているからだ」と自分の傲慢さに気づき、「私は完璧な人間ではなく、完璧になる必要もない」と考え、少しぐらい失敗しても役目を十分に果たし「よく頑張ったね」と自分を褒めてやることが出来るようになった。会社に入って間もなく1年になる今は、「昨日よりも少しだけ成長があれば、それだけでいいと心から思うようになった」と報告してくれた。
役目を立派に果たして散りゆく花を見て、これだけのことを悟ってくれたことに私は驚いた。5年前に教室で話した雑談が、社会人になってから自分自身を見つめ直す端緒になったことに、教師の役目を少しは果たせたのではないかと思い嬉しかった。
≪久方の光のどけき 春の日に 散りゆく花は 嬉しからずや≫紀友則の歌を借りて、「散りゆく花は役目を終えて、きっと満足して嬉しく思っていることでしょう」と、悟りにも似た彼女の心境を、返信メールの最後に付け加えた。
「北京週報日本語版」2018年4月25日
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