本誌記者 金多優
国際金融危機の陰気がいまだ晴れず、世界の経済構造が重大な調整にあるこの重要な時期に、中国は間もなく「十二・五」(第12次5カ年計画)の元年を迎える。北京で12月10日から12日まで北京で開かれた中央経済工作会議は、2011年の中国経済について、経済発展モデル転換の加速を軸足に、構造を調整し、物価を安定させ、民生を保障し、改革を促進することを提起した。
将来に対して大きな期待を抱くと同時に、われわれは同様に中国経済に潜む不確定性に客観的に対処しなければならない。11年に「インフレの抑制」と「成長の安定」の関係をいかに処理するか。財政・税制改革の推進をいかに加速するか。不動産市場の調整を持続できるか。様々な疑問を胸に、本誌編集部は10人の経済学者の説明と予測をもとに、11年の中国経済の動きをより冷静かつ理性的に考えることにする。
●滕泰氏(民生証券副総裁、チーフエコノミスト)
滕泰氏
――マクロ経済、「軟着陸」を実現へ
滕泰氏は11年のマクロ経済の動きについて、成長率の安定、インフレの減速、転換の加速の3点を挙げた。
GDP成長率は10年に比べ少なくとも1%、ひいては1.5%低下する。つまり、10年の成長率を約10%として計算すると、11年は8.6~9%の間になると予想。成長率低下の主因は以下の3点に見られるという。
先ず、企業の生産能力の向上によって在庫が増え始める。これは次の段階の工業製品の付加価値の増大速度が低下することを意味している。
次に、固定資産投資の増加幅は11年も低下する。4兆円の投資は09年と10年にすでにほぼ完了。11年の重要な国有建設プロジェクトは、社会保障としての低価格住宅の建設しかない。だが、全体から見れば、増加幅は22~23%を維持し、10年より2ポイント低下するだろう。
第3に、10年の輸出の増加幅は30%以上に達し、国際市場低迷の影響を受けたが、11年は10~15%まで落ち込むだろう。
●蘇歩超氏(不動産評論家、臥龍伝媒公司総経理)
蘇歩超氏
――不動産価格、理性かつ安定傾向に
11年の不動産市場の動向について、蘇歩超氏は心配しすぎる必要はないと述べ、「価格は理性かつ安定した傾向を示し、消費構造と市場のホットスポットが変わる一年となる」と強調した。
また、11年の不動産市場のキーワードは不動産税とホットスポットの転換になると指摘。「不動産税が中古市場にかなり大きなダメージを与えるのは必至だが、取引は活況を維持するだろう」
また、ホットスポットが換わると強調。蘇氏は「購入制限と地域計画などの影響から、新たな不動産のホットスポットが出現するだろう。例えば、環首都経済圏という考え方が打ち出されれば、河北省の廊坊や承徳、涿州など北京を囲む13の都市は利益を受けるようなり、不動産購入が集中する地区となる」と指摘した。
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