●蘇海南氏(人的資源・社会保障部労働賃金研究所所長)
蘇海南氏
――国民の収入配分改革に期待
10年を通じて物価が上昇したことで庶民の生活コストは急速に上昇しており、収入の配分改革の開始を求める声が再びあちこちで聞かれるようになった。
蘇海南氏は「賃金増加にとって決定的な要素は主に政策の変化、GDPの増大、それに労働市場の需給関係だ」と指摘。
現在、中国の収入配分において主要な問題は、非合理的な収入格差が拡大し続け、配分の秩序が混乱していることだ。さらに「こうした問題は単に庶民の基本的な生活に影響を及ぼしているだけでなく、1つの経済問題から次第に社会問題へと変わりつつあり、ひいては政治問題化し、社会の安定に直接影響を与えている。そのため、この問題を高度に重視し、解決しなければならない」と強調。
実際、国民収入配分改革は10年になって初めて提起されたものではない。05年に改革案の検討が始まり、06年には中国共産党中央が政治局会議を開いて協議。それから6年経ても、数多くの人の神経を突き動かすこの改革が実質的な進展を遂げることは終始、なかった。11年に改革が再び「空談」にならないよう望みたい。
●姚景源氏(国家統計局チーフエコノミスト)
姚景源氏
――発展モデルの転換、一刻も猶予できない
10年10月に開催された中国共産党第17期中央委員会第5回全体会議は、「経済発展モデル転換を加速することを、『十二・五』の核心となる任務とする」と提起した。
姚景源氏は「中国経済の現在最大の問題は成長速度ではなく、成長の質的問題だ」と指摘した。
中国経済が過去30年の間に得た成功はかなりの程度、労働集約型産業と粗放型産業の台頭に帰する。近年、こうした成長モデルの弊害が次第に明らかとなり、成長は低迷してきた。そのため、持続可能な成長を維持するうえで、経済発展モデルの転換が焦眉の急となっている。
中国では、経済構造の調整作業が長年にわたって進められてきたが、その効果は顕著ではない。姚氏は、11年に実質的な進展を収めるには、次の2点から着手すべきだと指摘。第1は、官僚の思想・理念を改め、経済発展モデルの転換が中国経済を持続的に成長させるという重要性を認識させる。第2は、企業が参与する積極性を引き出し、政府は企業の生産モデルの改善を支援すると同時に、効果を見定めることを挙げている。
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