●李健氏(商務部国際貿易経済協力研究院中国対外貿易研究部副主任)
李健氏
――人民元の上昇幅、5~6%を超えることはない
李健氏は「人民元の実行レートが絶えず上昇する可能性はあり、上昇は中長期的な傾向である」と指摘した。
周知のように、対外貿易は中国の経済成長けん引の「トロイカ」の1つとして、雇用創出と社会の安定、経済発展の促進という重要な役割を担ってきた。だが金融危機以降、輸出は影響を受け、また原材料価格の高騰で輸出企業が置かれている状況は非常に厳しい。人民元が大幅に上昇すれば、国内の就業と安定に直接的な影響が及び、ひいては世界の製品供給に対しても連鎖的にマイナスの影響がもたらされる可能性がある。
李氏によると、中国の為替レート政策は11年もマクロ経済の安定を確保することを前提に、人民元レートは段階的に、制御可能な範囲で上昇する。「上昇幅が10年をかなり上回ることはなく、5~6%が上限になるだろう」と予測。
●張燕生氏(国家発展・改革委員会対外経済研究所所長)
張燕生氏
――中国を相手に貿易戦争と通貨戦争が
10年下半期、国内で高止まりの状態にあった失業率を改善しようと、米連邦準備制度理事会(FRB)は第2弾の量的緩和政策を発表。この措置は米経済を刺激すると同時に、経済バブルを引き起こし、虚偽の繁栄をももたらした。「バブルが一旦はじければ、中国の経済と貿易はダメージを受ける」と張燕生氏は強調した。
さらに「11年には中国を相手にした貿易戦争と通貨戦争が起きる可能性がある」とも指摘。この2年の間に中国が直面した貿易摩擦は、衣料品や軽工業といった低付加価値の産業から新エネルギー、電子情報などハイテクを駆使した高付加価値の産業へと広がっている。
また、流動性の過剰と脆弱な米ドル、投機的な行動などの影響から、エネルギー資源の国際価格は11年も引き続き上昇し、国内の原材料価格にも直接ひびくだろう。同時に、国内の資源環境への圧力は高まり、資源利用度の高い製品の価格改革が一層切迫しているため、原材料価格は押し上げられるだろう。「こうした状況は、中国の輸出企業の利益を蝕む」と張氏。
中国商務部が先ごろ発表した「中国対外貿易情勢報告」は、対外貿易は11年も増大傾向を維持するが、伸び幅はやや減少する」と指摘。
対外貿易研究所は、10年の貿易黒字は1800億ドルに達し、11年は1260億ドルまで減少する、と予想している。
「北京週報日本語版」2010年12月23日 |