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◇南京大学外国語学院創立百周年記念事業◇
~作文コンクールでエッセーが2等入賞(上)~
斎藤文男(元・南京大学日本語科専家)  ·   2017-11-13
タグ: 卒業生;大学;中日交流
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◇豊かで奇妙な人生と海◇ 

 

CYさん(女性)は、3年生の「写作」で書いた「海」のことが卒業も頭に残っていた。≪当時、何を書いたのか今は忘れてしまったが、その後、仕事などで日本の海や香港で海を見て、いろいろな悩みが心の中に出てきた。≫CYさんは市政府職員となったが、仕事の中で不公平なことが多くあることを体験した。≪熱心な先輩に助けてもらい温かさを感じたが、人事闘争の中で頭が痛くなることもあった。こうした安定した仕事と生活で衣食の心配はなかったが、何か満足することができなかった。≫幼馴染と結婚した後、夫と一緒に米国に渡り、夫婦で米国留学生活が始まった。海までは車で2時間のところにあった。≪小さくて寂しい町で、貧乏な留学生夫婦だったが、2人で海を見るのが私たちの楽しみだった。≫≪博士課程を卒業した夫はエンジニアとして米国の西部の会社へ。私はボストンにある大学の院生になった。夫と離れて一人暮らしは寂しかったが、キャンパスから海までは徒歩10分で行けたのは楽しかった。≫彼女は2年間の院生を終え、夫のいるアリゾナ州で生活をしていた。≪海からは遠くなったが、壮大な海、静かな海、怒りの海、いろいろな海の姿が心の中に出て来た。人生もそういう豊かで奇妙なものなのだろう。≫ 

 

CYさんは10数年前に書いた「海」の作文を思い出して、自分の人生に重ね合わせているように思えた。日本は周囲が海に囲まれている島国なので、日本人にとって海は誰にも身近な存在だ。私は「海」を題にした作文で、海を見たことがない学生の多いことに気が付いて驚いた。本や映画で見た海や、「海は広いが、人の心は海より広くて深い」など抽象的な概念で海を表現した作文が多かった。 

 

◇人生のテープに巻き戻しが出来たら◇ 

 

中国では就職してすぐに転職する人が多いと言われるが、それは給料が高いとか楽な仕事をしたいという理由ではないようだ。大学院を卒業して会社員になって3回転職したHKさん(女性)は自分の進むべき道が分からなかったから。と弁明する。 

 

≪どんな自分になりたかったのか、若い時に見極められなかったため、このように二転三転した人生を送ってきた。大きな円を描いて今、また原点に戻ってきた。三度目の転職先で新人になった日、やっと目が覚めた。世の中には完璧に自分に合う仕事はない。一つの目標に向かって弛まぬ努力を続ければ、どんな道からもきっと勝利の城にたどり着くことができる。≫≪もしも人生のテープに巻き戻しが出来たら、もう一度あの青春が輝くプラタナスの木の街、あのキャンパスに戻れば、私はその時から自分の進みたい道を見つけて、その一本道を進みたかった。≫ 

 

彼女とは日本にいる時、東京駅で待ち合わせをして卒業後初めて会うことが出来た。近くの喫茶店で「これからは博士号を取得して大学の教師になりたい」と、目を輝かせて将来の夢を語っていた。高校時代の級友と結婚して一児の母となり、夢を実現しようと頑張っている様子を時々のメールで報告してくれた。 

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