妻の目に映る独特のロマン
「あの人と一緒にいるとびくびくしたり、ひやひやしたり。苦労が多くて疲れるわ」。呉さんの妻である董淑艶さんはこう言う。彼女の目に映る呉さんは野暮ったくて、「機械バカ」で生活力に欠け、「ロマンチック」とは程遠い男性だ。1986年に2人が結婚して以来、大きな負債を返しきれないまま、小さな負債はずっと日常茶飯事になっている。そのうえ、開発の過程で負傷し病院に運ばれたことも何度かあり、1度などは電気ポットで顔に大やけどを負い、半年入院したこともあった。
だが、口には出さないが、呉さんは数々の小さな発明によって妻への愛情を表現している。董淑艶さんが馬務村幼稚園の園長になったあと、彼は自らの手で電動シーソーや電動揺りかご、電動回転椅子を園児たちにつくってあげたのだ。また、彼が発明した幼児向け算数ドリル機は、左側に中国語の発音表記、右側に算数の出題があるもので、手書きせずに機械を使って中国語と算数の両方を学ぶことができ、子どもたちの学習意欲を高めるとともに、妻の健康に影響するチョークの使用を減らすものだった。
1999年6月19日、呉さんのうっかりミスが原因で大火事が発生し、家財のすべてが灰燼に帰した。絶望の中で董淑艶さんは2人の子どもを連れて家を離れ、離婚まで考えた。呉さんは自責の念に駆られ、もう2度と機械の発明に関わらないことを約束する一方、親しい友人たちから借金して家を建てた。
「あの何日間か、彼は人が変わったように1日中悶々として、食欲もなくしていた。彼が病気になってしまうんじゃないかと見ていて辛かった」と当時を振り返る董さんは、さらに「彼がロボット作りをあきらめ切れないことは分かっていた。だから“あなたが楽しくなるなら何をしてもいいわよ”って言ったの」と打ち明ける。
呉さんはすぐに普段の様子に戻り、妻に「仕える」お手伝いロボットをつくることを約束した。だが、董さんは真に受けていなかった。数カ月後、本当に呉5号が目の前に現れ、皿洗いの技を披露したとき、董さんは夫の成功に感動した。
「あの人は煙草もお酒も賭け事もやらない。ひたすら発明が好きなだけ。夜中にちょっとインスピレーションが湧くと、昼間に仕事を始めて朝から晩まで飲まず食わずで過ごす。以前は文句を言ったけど、成功したあと彼が子どものように興奮しているのを見て誇らしく思ったし、とてもホッとしたの」と董さんは締めくくった。
「北京週報日本語版」 2009年2月24日
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