土地の財産権の画定について
北京の不動産市場は経済の成長と2008年の北京五輪が開催されるということで、急激な発展をとげた。新浪ネットと新地産雑誌が1月に共同で発表したあるレポートによると、北京の不動産の総合的価格はこれまでの3年間に42%増となっている。
不動産の高騰は北京のような国際化都市の中では珍しくはないとはいえ、世界のその他の国の都市の住宅購入者と違い、北京の住宅購入者が購入する不動産は住宅だけであり、土地を含まない。住宅を買うと同時に、業主(住宅所有者)が入手するのは家屋が立地している土地の70年間の賃借権でしかなく、中国の法律によれば、個人は土地を擁することはできないからである。都市部の土地は国の所有であり、農村の土地は集団所有のものである。
こうした土地所有権はいくつかの社会問題の根源となっている。都市それとも農村を問わず、ここ数年に再三発生している土地に関する争いは、地方政府が公共利益の名目で土地をむりやりに収用して不動産開発に用いることで招来したことであり、立ち退きを余儀なくされた都市の住民または土地を失った農民が合理的な補償を得られないなら、不満の声が出ることは必至である。
しかし、こうした情況の下で、利益が損なわれた住民または農民は、彼らの私有財産を守ることができる法律が非常に少ないことに気づいた。農民が土地を失って生計を立てる道がなくなり、都市の住民は家屋を取り壊されて立ち退きを余儀なくされたために利益が損害を受けることによって誘発された社会矛盾は日増しに激化し、すでに中央のハイレベルの指導者の重視を引き起こしている。
1月30日に国務院報道弁公室が催した新聞発表会で、陳錫文中央農村活動指導グループ弁公室主任は、当面、農村で農民が上級政府へ陳情に行くことをもたらしている3つの主要な問題の中で、「土地問題が占めるウエートは確かに比較的に高い」と表明し、農民のみずからの利益に関する訴えが効果的なチャンネルを通じて解決されないならば、一部の民衆が集まって政府に彼らの要求を表明する可能性があると語った。
温家宝総理もかつて2005年12月に開催された中央農村活動会議で、土地管理の強化は改革と発展の過程において必ず終始上手に把握しなければならない肝心な一環であると強調し、さらに次のように語った。「土地問題において、私達は決して歴史的誤りを犯してはならない。」ここ数年らい、大量の農業用地が非農業用地に転じ、工業と都市の発展のために土地資源を提供しただけでなく、土地収用と移譲を通じて、都市建設のために大量の資金を調達し、これはいくつかの地方の都市建設が急速な発展をとげた重要な原因の1つである。しかし、これは農民への補償がどうしても低く、大量の肥沃な耕地を犠牲にしたことを代価として取り換えたものでもある。「盲目的に耕地を画定、占拠し、投資の規模を膨れ上がらせ、投資構造のバランスを失わせるとともに、土地を失った農民が多数現れ、農村と経済社会全体の持続可能な発展と安定に深刻な問題をもたらすことになった。」
2004年3月に採択された憲法改正案は、「国は公共利益の必要のために、法律の規定によって土地に対し徴収または収用を実行するとともに、補償を与えることができる」と明確に規定している。物権法草案は公共利益に対し定義を行うことができると民衆に期待されている。7回目の物権法草案稿に公共利益に関する定義がないとはいえ、土地収用の補償に対しては比較的具体的な規定を行っている――「集団所有の土地の徴収は、土地補償金を支払うべきで、就業または移住補助費、地上付着物のための補償金などの費用を支払うとともに、土地を収用された農民の社会保障費用を全額案配し、彼らの合法的権益を守り、彼らの生活を保障すべきである。」「部門、個人の家屋とその他の不動産を徴収する場合、立ち退きの補償を与え、被徴収者の合法的権益を守るべきである。住民の家屋を徴収する場合、被徴収者の居住条件を保障すべきである。」
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