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本誌記者の特別報道  
物権をめぐる争い

中国初めての個人の私有財産を保護する法律の起草作業は中国が社会主義なのかそれとも資本主義なのかの大討論をいま一度引き起こすことになった。

                 李 麗

中国の古代の大思想家孟子は2千年以上も昔、恒産(不動産)のある者には恒心(根気)あり、という民本位の思想を打ち出した。孟子は、生活の保障としての安定した資産はないが、好ましい道徳・品性を保つのは、恐らく徳性のある知名の士だけがやれることであり、一般の民衆はもし安定した資産または収入がないなら、その意志に動揺が生じることになると見ていた。

孟子の思想は彼以後の中国の文化と社会管理の構造に大きな影響を及ぼすことになった。そうした影響はずっと1949年の中華人民共和国の成立まで、特にその後の社会主義的改造のため、公有制経済が主導的地位にあるようになった時に至ってはじめて消えて去った。

しかし、中国の市場経済を誘導方向としての改革の実施と深化につれて、私有財産は1つの概念としてまだ完全に確立、画定されていないとはいえ、実生活の中では絶えず拡大をとげてきた。

他方、市場経済を実行するには必ず合法的な私有財産を保護しなければならない。1988年に憲法改正で「私営経済」のためにその名を正したことから、1993年に「市場経済」を憲法に書き込むに至り、更に1999年に憲法の中で「国は個人経済、私営経済の合法的な権利と利益を保護する」ことが明らかにされたことに至るまで、中国の私有財産権に対する保護は1歩1歩と前へ進んでいる。私有財産を保護するために争われている『物権法』が今回の全人代会議で採択されることは期待できることであり、それは中国の私有財産保護の面でいま1つの一里塚となる出来事となろう。

2002年12月、物権法草案は民法草案の1編として、その他の部分と一緒に第9期全国人民代表大会常務委員会に交付され、初めての審議を受けることになった。中国の物権立法はそれ以後正式に全国人民代表大会常務委員会の立法の日程にのぼった。2006年12月24日から29日にかけて開催された第10期全国人民代表大会常務委員会第25回会議で、議論の中にある物権法はここ4年いらい7回目の審議を迎えることになり、これは全人代の立法史において初めてという7回目に入った法律草案である。この第25回会議は物権法草案の7回目の審議稿に対する審議意見を報告し、『物権法』は何回かの改正を経てすでに熟に向かっていると見ている。

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