成功と失敗の裏にあるもの
オリンピックで金メダルを獲得した裏には、選手の四年間の汗と心血が凝結しているという人がいる。これは、中国の多くの世界チャンピオンが十分に深く体得している。
今回のオリンピックでは、中国の卓球チームはまたも輝かしい戦績をあげ、四つの金メダルを残らずさらってしまった。しかし、これらの成績の裏では、彼らはどれだけの苦労をしたか、それを知る人はおそらくいないだろう。
オリンピックまでまだ半年以上もあるというのに、中国の卓球チームは辺境の都市へ行って合宿練習を始めた。練習計画を綿密につくり、相手をつぶさに分析し、練習量が大きく、動作を単調にくり返し、コーチと選手たちはこの上なく苦労した。中国の伝統的な祝日の春節(旧正月)も、一日しか休めなかった。これらすべては、卓球―中国人がもっとも大きな期待をかけている種目で中国人を失望させないためであった。
中国卓球チームは多士済々ではあるが、オリンピックに出られる人は数人しかいなかった。そこで、多くの優秀な選手は自分の意思でオリンピック出場選手の練習の相手をつとめた。国外チームに加わって活躍していた中国のハイレベルの選手も呼びかけに応えて帰国し、練習の相手をつとめる人たちの仲間入りをした。徐寅生中国卓球協会主席は、中国卓球チームが今回収めた成績は、選手がねばり強く頑張った結果であり、集団が団結し奉仕した結果でもあり、愛国主義精神の高度の具現でもあると語った。
競技場では、優勝したくない人はいない。しかし、競技スポーツは非情なものであり、成功する者もいれば敗北する者もかならずいる。オリンピックが終わるたびに、多くの人が生涯の遺憾を抱いて競技場を離れていった。
今回のアトランタでの中国選手の活躍ぶりを見ると、所期の目標を達しなかった人が少なくないと言える。その中には、技がまだ十分ではない、実力を十分に発揮しえなかった、経験が豊かでないなどの原因はもとよりあるが、外部の不利な要素による影響も完全に排除することができない。
周知のように、今回のオリンピックの主催者がすべて商業利益から出発したため、組織面で混乱やミスが多く現れたのは避けがたいことであり、その上一部の審判の公正でないやり方も選手が実力を発揮することにひびき、その結果、一部の選手がしかるべき栄誉を得られなかった。これらは疑いもなく純潔なオリンピックの歴史に陰影をさすものであった。
しかし、これら敗北者も同様に苦労をし、努力を傾けたのは疑いをさしはさむ余地のないことであり、彼らも勝利者のように人々に尊敬されるべきである。
王軍霞は女子5000メートルの金メダルを獲得したあと、女子1万メートルでも銀メダルを獲得した カメラ·官天一
「北京週報日本語版」1996年9月3日