ある専門家は、3カ国の自由貿易圏が誕生すれば、3カ国の経済貿易の連携が強化され、東アジア地域の経済の融合を促進することができ、米国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のプラットフォームを通じてアジア・太平洋地域に突きつける挑戦に対抗することもできるという見方を示す。
可能性は大きいが、専門家の中には、中日韓自由貿易圏の構築は、敏感な産業の存在や政治的環境といったさまざまな要因に阻まれて、長く苦しい道のりになるという見方をする人もいる。
中国商務部(商務省)国際経貿関係司の孫元江副司長によると、経済分野では、中日韓3カ国の水準の開きが大きく、産業の分業もバランスが悪い。経済発展レベルの開きは市場の容量、市場の構造、消費構造の差異を招き、製品の参入基準に対する要求の不一致を招き、ひいては貿易や投資などの各分野における障害と摩擦を増大させるという。
孫副司長は次のように指摘する。3カ国の敏感な産業に対する関心が交渉を著しく困難なものにする。たとえば日本の敏感な産業には農業、鉄鋼産業、エネルギー産業、造船業、サービスや繊維などの加工産業がある。韓国は農業・水産業、エネルギー産業、衣類や繊維などの加工産業、中国は化学工業、自動車産業、電子情報産業、機械設備産業、金融業、小売産業、ミドルエンド・ハイエンド製造業だ。中でも農業は中日韓FTA交渉における難題の筆頭だ。
また中日韓自由貿易圏の構築について、各国の思惑にはずれがある。全体としていえば、中韓の姿勢は積極的だ。中韓は中韓FTA交渉をすでにスタートしており、最近では第8回交渉が今月18日から22日にかけて韓国の仁川で行われ、双方は合意の草案と関税減免リストの内容について話し合った。
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