大都市の收入の高さも魅力の1つだ。農村地域で1年間働いて得られる收入より、大都市で1カ月働いて得られる収入のほうが多いことさえあるのだ。
さらに質の高い公共サービスや資源も魅力の1つだ。黄所長は、「大都市の公共施設は整っており、良い学校や病院が集まっている。また、水や電気、ガス、道路なども、普通の都市とは比べることができないほどの水準となっている」と指摘する。
また、中・小都市に比べて、大都市のほうが包容力があり、どんな階層の人でも自分のライフスタイルを見つけることができる。さらに、大都市のほうが法律や規則を重んじ、公平で透明度が高い。これらも、多くの人が大都市に向かう原因だ。
功を奏さない抑制
人口の急速な増加は、大都市にとってこれまでに経験したことのない負担となっており、中国各地がさまざまな人口抑制対策を講じている。しかし、思惑通りに抑制が進まないという都市がほとんどだ。
では、「人口抑制」政策がどれも失敗に終わっているのはなぜなのだろう?「根本的な原因は、抑制は不必要で、実行不可能でもあるため」との考えを示す人もいる。
一方、段教授は、「各国の都市の発展の歴史において、人口の集中が都市化の過程で避けることのできない問題となってきた。この点では、発展途上国と先進国の間に差はない」と指摘。「ロシアのモスクワやフランスのパリ、米国のニューヨーク、東京、韓国のソウルなどの国際都市も人口爆発という問題にかつて直面した。ただ、これらの都市は一連の対策を通して人口を抑制し、負担を軽減した。そして都市を秩序だって、継続的に発展する軌道に乗せた」と抑制は可能との見方を示す。
「抑制」とはいっても、地方からやって来る人を強制的に制限するというわけではない。近年、中国の各都市もさまざまな手を打っているが、人口爆発の抑制には至っていない理由について、専門家は、「問題点は抑制が全体的に『無秩序』だから」と指摘している。
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