中国社会科学院の李培林副院長が、「中国の『人口学的配当』は、過去の予想より15年早い2015年にターニングポイントを迎えるだろう」との試算を、15日に開催された共産党武漢市委員会常務委員中心グループの報告会で指摘した。長江日報が報じた。
李副院長は「このターニングポイントを迎え、中国の労働者不足や高齢化などの問題は今後さらに突出化するため、社会保障体制の研究、調査が急務。人口構造が急速に変化することでもたらされる一連の新たな問題に対処できるようにしなければならない」と訴えた。
■人口構造、40年で逆ピラミッド形に
1990年に中国全土で行われた国勢調査では、人口の構造が標準的な人口ピラミッドとなっていた。しかし、その後20年の間に、人口構造に大きな変化が生じ、10年に行われた国勢調査では、高齢者を支える世代の20-64歳の人口が突出し、人口ピラミッドが釣鐘型になった。人口学的にはこのような状態を「人口学的配当」と呼び、社会全体の負担が軽く、労働者人口も増加。十分の労働力があるため、生産のスピードは速く、コストも低くなる。そして、競争力を備えた商品を生産し、発展が加速する。
しかし「人口学的配当は、さっと来て、すぐに去る」と李副院長。「10年の国勢調査の結果をベースに、さまざまなパラメーターを加えて科学的に計算すると、2030年、中国の人口ピラミッドはピラミッドをひっくり返したような形になると試算できる」と警告している。
■家庭構造「少人数で多人数の高齢者を世話する」に
人口構造が大きく変化すると、家庭の構造も大きく変化する。李副院長は「現在、一人っ子政策を背景に、1代目の一人っ子が結婚し、出産する時期になっている。夫婦共に一人っ子となると、下には自分達の子供1人、上には親4人という構造になる。現在の一人っ子政策が変わらないとすれば、10-20年後にその子供が結婚するとなると、その夫婦の肩に4人の親と8人の祖父祖母の負担がかかることになる」と指摘。
「中国はこれまで長期にわたり、家族2代で高齢者を支えるという構造を取ってきたが、『多人数で少数の高齢者を世話する』から『少人数で多人数の高齢者を世話する』という構造に変化しているため、変革が急務になっている」と警笛を鳴らす。
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