未来
もちろん、中米関係には摩擦と変動が見られるが、実際には免れないことだ。食い違いと矛盾のまったくない大国関係など世界にはない。米欧や米日のような同盟関係にしても、イラクへの派兵や、普天間基地などの問題をめぐり激しい言い争いがあった。そのため、問題の本質は中米間に摩擦または食い違いがあるか否かではなく、食い違いがその他の分野に拡大するのをいかに防ぐか、中米協力の総体的枠組みが損なわれるのをいかに防ぐか、中米間の戦略的猜疑心を誘発、増幅させるのをいかに防ぐかである。これを参考にすれば、中米は未来の交流において以下の面に一層注意を払う必要があるのではないか。
第1は、建設的な協力という大きな方向をしっかり把握することだ。中米関係は、21世紀においてより多くの国際・国内的要素の影響を受けることは避けられない。より複雑の情勢に対処するには、中米はその協力が、世界の平和と安定の擁護、グローバルな挑戦への対応にとって重要な意義のあることをもっと明確にしなければならない。中米がこのような高さから、長期的な目をもって両国関係に対処するには、積極的な協力という大きな枠組みを堅持しなければならず、揺らいではならない。
第2は、共通の利益を深化させ、協力のプロセスを推進することだ。中米が多くのグローバルな問題において幅広い共通の利益を有していることは、まったく間違いない。だが、抽象的な理論の認識を具体的な協力の行動へと転ずるには、双方が共通の利益をそれぞれの発展目標と結びつける、共通の利益の推進を相互の核心的利益への配慮と結びつける、全面的な協力を重点的かつ着実な行動と結びつけなければならない。中米は共通の利益、協力のプロセスに関する議論を深める必要がある。
第3は、引き続き対話のメカニズムを改善し、戦略的意外性と戦略的誤判断が生じないようにすることだ。中米間にはすでに多くの意思疎通・交流メカニズムが確立されているとはいえ、中米関係の複雑性と全面性、発展性を考えれば、メカニズムの確立にはやはり改善、向上させることのできるところがある。例えば、軍事交流の安定と発展をいかに擁護するか、戦略・経済対話の成果と効果をいかに拡大するか、新たな問題の悪化とエスカレートをいかに防ぐかなど、いずれも検討し解決が待たれている問題である。
最後に、だが、同様に重要なのは、中米という2つの社会の間の理解と好感を深めることだ。そのためには、公共外交、民間外交や人文外交などが中米関係においてより重要な役割を発揮しなければならない。
「北京週報日本語版」2011年1月12日 |