◆「中国式責任論」を構築する
清華大学国際問題研究所の何茂春教授は、1つの国が先進国かどうかを判断する際、一般に5つの基準があるという。第1は経済学的解釈、第2はメディアの解釈、第3は法学界の解釈、第4は国際組織の解釈、第5は主要外交パートナーの解釈。この中で真に権威があるのが、国際組織による位置づけだと話す。また「現在、世界の主要な国際組織はいずれも中国を『発展途上国』に加えていない」と指摘。
何茂春氏
各国や組織が中国を「先進国」として位置づけていることに関し、他人がいかに線引きしようと、中国はより多くの大国としての責任を担うべきだ、との考えで多くの専門家は一致している。
袁鹏所長はこう強調する。「発展途上国だからといって、グローバルな責任を負わないわけにはいかない。グローバルな責任については、中国はこの数年ずっと担ってきた。我々が負うのは、中国の国情や国際観に沿って決定した、中国の特色を備えた国際的な責任だ。例えば、朝鮮の核問題やイラン問題の解決、さらには気候変動といった問題で、中国は非常に重要な責任を果たしてきた」
地球温暖化問題では、米国などの先進国は中国により多くの排出削減義務を負うよう求めている。アフガン再建でも、米国は中国がより多くの平和維持の役割を担うよう期待している。
今後、中国の経済と総合力が拡大するに伴い、世界における「中国の責任論」を求める声はますます強まるだろう。だが、西側が中国に押し付ける「責任」は、我々が当然負うべき責任とはまったく異なる。
将来、中国はいかに大国としての責任をスムーズに履行すべきか。
何茂春教授は「中国は経済面のみならず、文化面においても台頭しなければならない。国際的な新たなゲームルールの策定に参与して、より大きな役割を発揮すべきだ。これは大国の中国に対する要望に限らず、より多くの発展途上国の中国に対する要望でもある」と強調する。
◆「簡単な発展途上国」とはさようなら
現在、世界は経済発展の程度に応じて、主として先進国と発展途上国の2種に分類されている。何茂春教授によると、発展途上国はさらに「発達した、比較的発達した、未発達の途上国」に分類される。この区分に照らせば、中国は発達した途上国になるはずだという。
だが現在、中国は外交上、依然として発展途上国であるとの主張を堅持している。だが、この位置づけは時代の変化につれて変わるべきだ、との見方も一部にある。
何茂春教授は「中国は発展途上国から先進国に移行する段階にある。実際、現在の中国は簡単な発展途上国ではないが、また先進国でもない」と指摘。
具体的に言えば、今日の中国の境遇と地位については、中国は新たな思想、新たな思考が必要だということだろう。さらには責任を負う大国としての心構えが必要である。(『国際先駆導報』)
「北京週報日本語版」2010年10月8日
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