本誌日本語専門家 勝又あや子
唐山市の管轄県である灤県は三千年の歴史を持つ古城。灤県は今、灤州古城という歴史文化産業プロジェクト開発に県を挙げて取り組んでいる。狙うのは、文化産業を突破口にした内需主導型経済成長モデルへの転換だ。
三千年の歴史を持つ古城のテーマパーク
灤県は北京から北東に約220キロの距離にあり、唐山市と秦皇島市の間に位置する。遼代に築かれた歴史ある都市で、古くは灤州と呼ばれ、1913年に中華民国により州制が廃止されるまでは、現在の唐山市なども含めた地域全域を指した。後に唐山市などが分離され、残りの地域が灤県となった。古来からの灤州の中心部は現在の灤県に位置する。
灤州は河北省張家口に発し渤海に注ぐ灤河のほとりにあり、20万年前の原始社会から人類がここで生活した。遼代からは州が設けられ、金、元、明、清など多くの王朝の統治下に入り、26の民族がこの地に暮らした。風光明媚な景勝地としても知られ、清の康熙帝や乾隆帝など18人の皇帝が合計38回滞在した。
灤州古城は、古城(古い都市)をテーマにした巨大観光施設。3万ヘクタールという広大な敷地面積に、灤州の城門や鐘楼、鼓楼などを含むシンボル的な建築物を再建し、明・清代の北方中国の街並みを再現する。宿泊・飲食施設や各種商店のほか、民間芸術文化のパフォーマンスや民俗文化体験のできるアトラクションも用意され、さながら古城テーマパークといった趣だ。敷地内に建設される住宅の販売も予定され、不動産開発プロジェクトの側面も持つ。2010年に着工し、2012年の完成を目指している。
灤州古城のモデルエリアにある巡灤府
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