次に、米国企業のために多くの商業利益を掠め取ることだ。米印の原子力協定締結後、とりわけNSGの一致した同意を得た後には、インドはその他の国から原子力技術と原子力材料を輸入する権利を持つようになる。フランスやロシアなど先進的な原子力技術を持つ国はこの大きな潜在力を持つ市場を獲得しようとし、その利益の一部を獲得しようと図っている。対インド関係を強化し、インド側の米国企業に対する「排他的承諾」を獲得することは、「千億ドル相当の市場」を切り開くのに等しく、目下の直接的利益こそが、すなわち10億ドルの注文書なのだ。
さらに、「インドを引き込んで中国をけん制する」という戦略的計画を推進することだ。長期にわたって、米国は急速に強大になった中国をライバルもしくは脅威と見なし、あらゆる方法で中国の周辺に「防御壁」を築き、インド・日本・中国の間でバランスをとってきた。米国は、巨大なアジアではいかなる国も疑いようのない主導的地位を有してはいない、と考えている。インドはアジアの平和と安定のカギであり、インドの持つ地政学的地位は、印米が中国をけん制する面で言わずもがなの利益を持っており、米国はインドを「中国けん制」という戦略的チェーンに引き入れねばならないのだ。
現在の発展傾向から見れば、米印関係は大きな発展の潜在力を持っており、いゆわる「3.0版」の中身については、その充実を待つところが少なくない。しかし、この関係の深化が諸々の制約に直面していることを、人々は見て取らなくてはならない。世界の多極化の問題では、インドは米国の「一国強大」という枠組みを見ることを望んではおらず、強権政治をしきりに批判している。南アジア問題では、インドは米国が印パ関係、とりわけカシミール紛争を調停することを望んでいない。気候変動問題では、インドは、米国など西側諸国が地球温暖化に歴史的責任を引き受けるべきであり、彼らのCO2排出削減を推進するやり方は新興国の経済発展を阻害していると考えており、インドが排出削減の強制的指標を引き受けることはできないと考えている。対中関係の問題では、インドは「米国の力を借りて中国をけん制する」という心理を持っているものの、中国との関係をうまく発展させていくことも望んでおり、中印関係を犠牲にすることは望んでいない。インドは外交の独立性が非常に強い国であり、米国と同盟を結ぶこともなく、米国のリズムに合わせて踊ることもないはずだ。
「北京週報日本語版」2009年9月3日
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