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◇教え子たちから「我到中年」の報告⑦◇
~嵐に遭っても、散らずにゴールまで咲き続けよう~
元南京大学日語科教師・斎藤文男  ·   2019-09-24  ·  ソース:北京週報
タグ: 南京大学;卒業生;中日交流
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29歳、彼氏なし、現在無職、未来の方向は未確定。こんな中年を迎えるとは、思わなかった。しかし、考えてみれば、なぜこのような窮境に陥ってしまったかについて、全く心当たりがないわけでもない。

大学の学部生と院生時代は真面目に勉強し、国家奨学金を二回も獲得した。会社に入った後は通訳の仕事を全力でやり、全会社で最も優秀な通訳と認めてもらい、嫌いな事務の仕事も頑張ってやり通した。努力はした。それなりの成果も確かにあった。しかし、今までの自分は与えられた任務だけを見て、自分にとって一体何が重要で、自分は一体どういうものになりたいのかという問題から目を逸らしてきた。自分は何も決めずに、親や上司の言われた通りにし、やることを決めてもらった。勉強も、仕事も全力疾走した。しかし、自分がきちんと最初からゴールを設定してなかったため、たどり着いたところは、あくまで他人が他人の都合で設定したゴールでしかなかった。走ることだけに専念し、どこに向けて走っているのも分からず、薄っぺらな努力をしている自分に酔っていた。そして、月日が経つのに連れて、何も決めてこなかったことで不安が募る一方で、自信も無くしつつある。三十代に歩もうとしている時に、不安がついに抑えられなくなり、今の会社に残っても未来が見えないため、仕事を辞めた。

辞めたのは正しかったのか?自分は本当に国語の教員になれるのか?今選ぼうとしている道は本当に自分の歩むべき道なのか、それともただの逃げだけなのか?これからはもしかすると、日本語と全く関係のない人生を歩んでいくかもしれないが、本当にそれでいいのか?分からない。今は自分に対する拷問の日々で、そして、こんな日々はまだしばらくは続くだろう。辛いが、それは今の自分である。

学生時代、こんなことを教わったことがある。花はやって来る虫たちに花粉を運んでもらうために花弁を開いていること。そして、結実すれば花の役目は終わり、風はなくとも静かに散っていくこと。結実しなければ、どんなに強い風が吹いたり、大量の雨が降っても花は決して散らないことを。私が花なら、まだ結実していないのではないだろうか。今は大きな台風のような嵐の真っ最中なのかもしれない。それなら、強風や大雨に負けず、私はまだ散らずにしばらく咲き続け、次のゴール地点まで頑張って行こうと思っている。

≪番外の作文への返信≫私は虫や花が好きなので、授業中にその話で脱線することが多かった。花の色は季節によって、なぜいろいろな色があるのか。サクラの花は、風がなくともなぜ「しづこころなく」散っていくのか、などを学生に質問したことがある。彼女はこの時、指名されてすぐには答えられなかったが、4年生最後の授業の感想で、『小学生からの学生時代は、それまで習ったことを試験の答案に書き、点数が良ければ良い学生になった。花の色やサクラの散る理由などを考えることは、人としてさらに重要なことではないかと思い、これからは“良い学生”よりも“良い人になろう”と考えた。』と書いてくれた。彼女はこの時のことを思い出したのかもしれない。今、人生の大きな転換時期を迎えている時、遠くからでも出来る限り、応援のメッセージを送り続けて行こうと思う。

「北京週報日本語版」2019年9月24日

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