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中国の「大国化」をどう受け止めるか
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横浜国立大学名誉教授 村田忠禧 · 2016-03-15 · 人民中国 |
タグ: 軍事費;GDP;政治 | 印刷 |
同じ時期のGDP(国内総生産)の変化を見ると表2のようになる。
表2 米・中・日・独4ヶ国の名目GDP (IMF統計 単位 10億米ドル)
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1990年 |
1995年 |
2000年 |
2005年 |
2010年 |
2011年 |
2012年 |
2013年 |
2014年 |
米国 |
5,980 |
7,664 |
10,285 |
13,094 |
14,964 |
15,518 |
16,163 |
16,768 |
17,419 |
中国 |
404 |
757 |
1,193 |
2,287 |
5,950 |
7,314 |
8,387 |
9,469 |
10,380 |
日本 |
3,104 |
5,334 |
4,731 |
4,572 |
5,495 |
5,906 |
5,954 |
4,920 |
4,616 |
ドイツ |
1,591 |
2,593 |
1,953 |
2,863 |
3,418 |
3,756 |
3,535 |
3,731 |
3,860 |
軍事費と同様、90年を100とした場合、14年のGDPは米国が291、日本が149、ドイツが243であるのに、中国は2566(およそ26倍)。中国のGDPの増加は軍事費のそれを上回っている。つまり総合国力の増大に伴って軍事費も増えたのであって、かつての日本軍国主義のように、軍事費が他を圧して増大しているのではない。なお安倍首相は「公表国防費」(人民元)が「過去27年間で約41倍」と発表しているが、同時期のGDPは45倍に増えている。何が問題なのだろうか。
一人当たりで軍事費を見ると表3のようになる。
表3・中・日・独4ヶ国の一人当たり軍事費(SIPRIより)単位 米ドル
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1990年 |
1995年 |
2000年 |
2005年 |
2010年 |
2011年 |
2012年 |
2013年 |
2014年 |
米国 |
1,227 |
1,047 |
1,069 |
1,703 |
2,257 |
2,283 |
2,182 |
2,024 |
1,891 |
中国 |
9 |
10 |
18 |
36 |
92 |
110 |
126 |
141 |
155 |
日本 |
202 |
390 |
362 |
350 |
422 |
473 |
470 |
383 |
360 |
ドイツ |
533 |
504 |
342 |
461 |
566 |
589 |
578 |
591 |
562 |
中国の軍事費は増大したとはいえ、一人当たりでみると14年ですら155ドルに過ぎない。日本の一人当たり軍事費は中国の2.3倍の360ドル、米国にいたっては12.2倍の1891ドルに達する。中国よりも米国のほうが問題ではないか。
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