経済面では、今回の世界金融危機が発生してからすでに6年余りが経ったが、世界経済は危機の影響を完全に脱していないばかりか、むしろ深刻な下押しリスクが再び生まれている。現在、南北諸国はそれぞれ異なる試練に直面しており、国際通貨基金(IMF)、世界銀行及び経済協力開発機構(OECD)などの機関はここ2年相次いで世界経済成長予測を引き下げている。
安全保障面では、現在世界、特に中東などで安全情勢の悪化傾向がより顕著になり、それが世界経済発展にとってマイナスの影響を及ぼしていると見られ、全体的な回復が抑制されている。さまざまな伝統的・非伝統的安全保障問題が噴出し、各主要地政学的ブロックと経済や安全保障など主要分野を覆っている。大国間の戦略的駆け引きは明らかにヒートアップし、もともと相対的に安定していた均衡が崩れ、隠れていた安全保障問題が激化または拡大した。
G20自体を見てみると、その発展深化も多くの難題に直面している。国際経済ガバナンス改革、マクロ政策国際協調、国際不均衡の解決がその三大核心任務だが、実績は理想的とは言えないようだ。参加国間の国際経済ガバナンス改革に関する立場には依然として明らかな違いが見られる。親米陣営は国際通貨体系の主導権を引き続き維持し続けたいし、欧州中心陣営はユーロと欧州経済を立て直したい。また新興諸国陣営はより多くの国際経済ガバナンスの実権を握ることを望んでいる。
しかし、多くの難題は、国際協調と協力、危機対応の促進をその任とするG20メカニズムにとってそう悪いことではないかもしれない。難題を解決すると同時に、各参加国はG20協力が更なる飛躍を遂げることを促進する必要が生じるからだ。中国にとって、それは2016年に推進するべき仕事が大量にあることを意味する。
一つには、共に問題に直面することで、各参加国が協力する利益基盤が拡大し、一部分野の協議が容易になる。その一方で、世界経済と安全情勢が緊張すればするほど、G20はいっそう注目され、国際社会は主要国と国際機関が協議と妥協を通じてソリューションを打ち出すことを期待する。