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フィリピンは国内有識者の声に耳を傾けるべき
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· 2016-06-13 |
タグ: 南中国海;仲裁;政治 | 印刷 |
新しくフィリピン第16代大統領に当選したドゥテルテ氏は中国との南中国海紛争をどのように処理するだろうか?中比関係に転機をもたらせるのか?中比関係の変遷を振り返ると、アロヨ政権時代が中比関係の黄金期だった。中比越3カ国も2005~2008年に南沙諸島海域で天然ガス資源共同開発の事前地震探査を行い、南中国海紛争地域における共同開発の先例となった。しかし、アキノ3世の大統領就任後、中比関係は急速に悪化し、特にフィリピンが一方的に南中国海紛争仲裁を申し立てた後は低迷期に入った。
長期にわたって中比関係に注目してきた多くのフィリピンの政治家や学者は中比関係の後退を懸念している。先ごろ、フィリピン外務省海事・海洋センター(MOAC)元事務局長のアルベルト・エンコミエンダ氏は公の場で、「南中国海の情勢を緊迫化させたのはフィリピンであり、西側メディアが長期にわたって非難している中国ではない」との考えを示した。エンコミエンダ氏は「中国は一貫してフィリピンと交渉しようとしてきたが、フィリピンがずっと応じなかった」と述べた。また、西側は中国を悪者扱いしていると批判し、「最初に(南中国海)で埋め立てを行ったのはフィリピンだ」と語った。
アキノ政権になってから、フィリピンは2013年1月に南中国海問題について一方的に強制仲裁手続きを申し立て、そのために中比関係は急変した。例えば政治外交分野では、一定の頻度で首脳の相互訪問は行われていたものの、その他各分野のハイレベル交流は停滞した。経済貿易協力分野では、ここ数年の中国の対フィリピン投資総額がASEAN内部に占める割合は上がるどころか低下し、現在ではわずか2%前後にすぎない。人文交流分野では、両国間の民間相互交流は明らかに後退し、両国協力の人的・文化的基盤が大きく損なわれた。中比両国関係がフィリピンの「南中国海仲裁手続き」申し立てによって受けた悪影響は全方位的かつ立体的で、多くのレベルに及んでおり、すでに中比両国の戦略的パートナーシップをおびやかしていると言える。
とは言え、ドゥテルテ氏がフィリピン大統領に当選して以来、両国政府は共通認識の再確認と相互信頼の修復に努め、両国の上層部はすでに2国間関係改善について互いに前向きな考えを示している。5月30日、習近平主席はドゥテルテ氏の大統領当選後に祝電を送り、中比関係が健全な発展軌道に戻るよう努めるという中国側の政策的立場を重ねて言明した。同時に、ドゥテルテ氏は大統領当選後、最初にダバオ市で趙鑑華・フィリピン駐在中国大使と会見し、中国側に対し中比関係の改善に努めたいとの意思を明確に示した。
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