中文 | English | Français | Deutsch
 
 
ホーム 政治 経済 社会 中日交流 文化 文献 特集
ホーム >> 中日交流 >> 本文
  • descriptiondescription
「私とは何か」を探して 作家・平野啓一郎氏インタビュー
  ·   2019-07-17  ·  ソース:人民網
タグ: 文学;小説;中日交流
印刷

「マチネの終わりに」のサイン会(撮影・張靖)

「マチネの終わりに」は終わりではなく、始まり 

4月21日に行われた中日作家懇談会に参加した後、平野氏は23日、今度は北京市の芳草地に姿を現した。同日行われた中国で出版したばかりの「マチネの終わりに」のサイン会のためだ。

同作品は2016年に日本で出版されると人気を集めて重版を重ねた。そして2017年には、当時42歳だった平野氏はこの作品で渡辺淳一文学賞を受賞した。同作品は、これまでの作品の題材とはやや趣を異にしており、純愛を軸にした作品となっている。時代を主人公の人生に反映させるとともに、人物の感情の流れもまた時代に反映させている。

こうした手法は中国の現代文学から学んだことの1つであるとする平野氏は、「困難な時代だから、愛の価値を説得力のある形で描きたいと思っていた」としている。

そして、「この小説の構想を練っていた頃、私は政治的、経済的という様々な理由から現実の世界に、ほとほとウンザリしていた。この小説を書くまでの、第3期と区分している時期の小説、とりわけ『ドーン』と『空白を満たしなさい』では、分人という概念を使って、どうすればそうした世の中を生きていけるかを、かなり具体的に、緻密に思索している。それも、文学として必要なことだが、他方で、文学には、現実から、束の間、読者を解放して美しい物語の世界に浸らせる力もある。対立と分断が煽られる時代にあって、私は、愛することの価値を描いた、何か美しい物語に浸りたいという気持ちを強く抱いていたのだが、残念ながら、その感情にピッタリの小説がなく、それならと、自分で書くことにした」とその執筆の動機について語った。

現在、同作品はすでに映画化され、今年11月には日本で公開予定となっている。主人公を演じるのは中日両国のいずれにおいても高い人気を誇る福山雅治だ。

平野氏は、「福山さんは僕が思い描いていた主人公以上に非常に男前。しかも彼はこの役柄を演じるためにクラシックギターを練習してくれて、その情熱には感動した。この映画が中国でも上映されるチャンスに恵まれれば」としている。

平野氏は執筆を行う際、まずは日本の読者のことを考えるとしながらも、自作が外国語に翻訳された場合でもきっと理解してもらえると考えている。

なぜなら、「日本人も、グローバル化された世界の中で、他の国の人々と、多くの共通する問題を抱えているので、自作が外国語に翻訳されても、理解されるのではないかという期待を抱いている。特に、中国とは歴史的にも深い関係があり、その思いがより強い」からだ。

そして遠からず平野氏の中国語版3作品の刊行も予定されている。それは分人主義について書いたエッセイ「私とは何か~『個人』から『分人』へ」と19世紀のフランスを舞台に、画家のドラクロワと音楽家のショパンを主人公にした歴史小説「葬送」、そして実験的な短編集「高瀬川」だ。これらはいずれも、既に中国で刊行されている彼の作品とはまったく異なるスタイルだが、様々なテーマが通底している作品となっている。

平野氏は、「日本の読者は、その変化と思索の発展を楽しんでくれているので、中国の読者にも受け容れられることを願っている」とした。

また現在、平野氏は新作にも取り掛かっており、次回作は近未来を舞台にした小説で、死んだ母親をヴァーチャル・リアリティの世界で再現しようとする男性の物語。「人間の生が、今後どうなっていくのかを予想しながら書こうと思っている」と平野氏は新作への抱負を語った。(編集TG)

「人民網日本語版」2019年7月17日

前のページへ1234
シェア:
リンク  

このウェブサイトの著作権は北京週報社にあります。掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。


住所 中国北京市百万荘大街24号 北京週報日本語部 電 話 (8610) 68996230
  京ICP备08005356号 京公网安备110102005860号

中国語辞書: