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【シリーズ改革開放40周年】中国音楽業界の変化を見つめてきた日本人レコーディング・エンジニア 粟野敬三さん
本誌記者 勝又あや子  ·   2018-07-31
タグ: 改革開放;音楽;中日交流
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日本と中国の音楽界をつなぐ 

レコーディング・エンジニアを軸に仕事をしてきた粟野さんだが、今では日中間の音楽ビジネスをつなぐコーディネート業も増えた。2000年以降、日本からアーティストが来て中国で録音を行うケースが増えた。例えば、中国のオーケストラとのコラボレーションが多くなった。国レベルの交響楽団が録音に協力してくれることの良さに気づいた日本のアーティストが、中国で録音を行うようになったのだ。粟野さんがレコーディングをコーディネートし、現場に立ち会った日本のアーティストには、大黒摩季やゆずなどがいる。 

さらに、中国のゲーム・アニメ音楽の制作サイドから「日本の作り手と組みたい」というオファーが来るようになった。きっかけは、日本と韓国で活躍する音楽プロデューサーで、ピョンチャン冬季オリンピックの音楽監督を務めた梁邦彦氏。中国側からの依頼で梁氏とのコーディネーションを担当したことが契機となり、それ以降、中国側からのオファーが増えていく。また、梁氏からも再び依頼が入るなどして、コーディネーションの仕事が増えていった。最近では、公園の噴水を利用した野外劇の音楽制作について日本のチームとコラボレーションできないか、という相談を受けている。 

日中間の音楽業界交流も大きく様変わりしつつある。中国のアーティストが日本で録音するケースが増えているのだという。「以前は貨幣価値が違いすぎて、日本でレコーディングをするとコストが高かったんですが、今では日本のほうがかえってコストパフォーマンスがいいんです」と粟野さんは言う。実際、日本のスタジオに中国からオファーが来るようになっている。来月、日本スタジオ協会からの依頼で、中国のスタジオ業界事情について話をするという。やや二の足を踏んでいる感のある日本のスタジオ業界に対し、「ほかの業界はとっくにどんどんやっている。チャンスなのに……ここでやらないと!」と発破をかけてくるつもりだ。 

人材育成と著作権保護の動き 

中国の音楽業界の変化として粟野さんがもう一つ挙げたのは、人材育成の強化だ。「成都市政府の中に音楽部門が立ち上がり、そこから相談を受けたんです。人材を育てようとしているんですね。今、中国はハリウッドとかと一緒にやっているじゃないですか。でも音作りに関してはやっぱりハリウッドと比べると勝てないというか、まだまだそこまでいってない。機材はすでにいっぱい揃っているんですけど、それを作れる人がいないから全部持っていかれちゃう。だからそういうものもできるように、人材育成に力を入れている」と粟野さんは語る。 

著作権関係も以前に比べるとかなり整備されてきた。「徐々に配信などでお金がきちんと入るようになってきました。日本の作り手も証明書を出して著作権を登録できるようになりました」。粟野さんはそうした著作権登録業務のサポートもしているという。 

レコーディング・エンジニアやコーディネーターとして、中国音楽業界の変化を身近に実感してきた粟野さんは、「今後もいられる限り中国にいたいと思っている」と言う。これからも日本と中国の音楽業界をつなぐ存在として大いに活躍する粟野さんの姿が見られることだろう。

「北京週報日本語版」2018年7月31日

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