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中国人にとって英雄は?

本誌記者 馮建華

「見て、劉翔よ!」。3月、「小学生用オリンピック知識読本」(副読本)を手にした北京の小学2年生の女の子はこう叫んだ。すると友人たちも次々に副読本を開き、劉翔選手の話題で持ちきりになった。

北京時間の2004年8月28日午前2時40分。アテネオリンピックのメインスタジアム。中国の劉翔選手が男子110mハードル決勝で金メダルを獲得した。タイムは12秒91。オリンピックの新記録を樹立、しかも英国のコリン・ジャクソン選手が1993年8月20日に独・シュツットガルトで打ち立てた世界記録と同タイムだった。

「劉翔は私たちの英雄よ。クラスの皆も彼がすごく好きです」

英雄は時代ごとに代わる

劉翔選手の世界記録樹立に関する一文は3月5日、上海市の小学5年生用の国語教科書(試験本)に盛り込まれることになった。北京の副読本の場合と異なるのは、この掲載が論議を呼んだことだ。

教科書編纂作業は2004年夏に始まり、当時はまだオリンピックは開催されていなかったが、記録を樹立したことで、急きょ教科書に掲載されることになった。

「これは非常に意外だ」、とある小学校教師は嘆息する。一方、上海市教育委員会教研室の王厥軒主任は掲載に肯定的だ。「この年代の子供たちは英雄を必要としている。劉翔選手がこの時代の英雄であるのは確かだ。教科書に速やかに社会生活の鼓動を反映させるようにするのは、奨励していく価値がある」

半月後、劉翔選手は新時代の「英雄」として教科書に掲載されることになった。それと同時に、抗日戦争時代に人民のために最後まで闘い命を失った5人の英雄に関する故事は削除された。1949年の新中国建国後に生まれた世代はこの故事を通して、今日の幸福な生活は革命家が血を流してようやく得たものであり、無私になって社会に報わなければならないことを学ばされてきた。

上海市教材編纂グループの徐根栄編集長は「革命烈士に関する記述の削除は社会の要請だ。価値が多元化している現代社会では、長く続いてきた革命戦争に関するテーマは徐々に生徒たちの生活、考え方とかけ離れつつある」と指摘。

さらに徐編集長は「新たな時代にも革命的な英雄主義は必要だ。ただ、その形は変えるべきだろう。国のために、国民のために貢献する、というのが英雄であり、過去の戦争時代には革命烈士がいたが、現在の平和な時代には劉翔選手、といった人たちがいる。劉翔選手は上海人だし、その意味で、子供たちが英雄主義とは何かを理解する上で大きな助けになるのではないか」と話している。

インターネット上の伝言板でも、意見は肯定派と嘆息派とに分かれている。「1つの時代にはその時代の英雄があり、時代が異なれば、英雄の選択基準も当然、違ってくる」「私は革命故事とともに成長してきたが、現在の子供たちは5人の烈士さえも知らず、何ともやり切れない」「5人の革命烈士は今でも忘れることはできない」……

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