もう、手仕事、力仕事を主とする構造に回帰することは不可能だ。
代替エネルギーの開発の必要性も叫ばれているが、コストを考えると、まだまだ難問が山積している、しかし、これは人類にとって、絶対に避けて通れぬ道である。次の次の世代に難問を残しておくような近代化は避けるべきだ。
中国は一部の面では、科学技術の発展は、すばらしいものがある。月探査技術の開発などでも、一応世界の先進国に伍していけるようになった。
NC工作機械、建設機械などの面でも、これまで他国の企業に首根っ子を押さえられていたものも、国産化されつつある。ダム、鉄道とかいうビッグプロジェクトも、ほとんど自国の技術でこなせるようになった。こういうものはやがては輸出と国外プロジェクト請負いの面でも国の強みとなる可能性があることを見て取るべきだ。
では、この次に力を入れるべきものはなにか。環境保全、省エネの技術である。これは原理そのものは、これまでの化学、物理を基礎とするものであるが、システム・エンジンニアリング技術に対する取り組みが欠けていることがネックとなっている。
日本は死力を尽くす、という表現を使っても過言ではないやり方で、石油ショックと公害を逆手取りし、マイナスをプラスに変えることに成功し、世界でトップクラスの省エネ、環境保全の技術を得意芸に変え、胸を張って他国に輸出するところまできている。しかも常に知的所有権の保護を前置きにして「セールス」を始めている。
中国にもハルビン、瀋陽、北京、西安、成都に世界的水準の工科大学がある。専門家の数も世界に伍していける。ここで発想を転換して「成金さん」的ライフ・スタイルを一変して省エネ、環境保全に力を入れてはどうか。こういう技術はすぐにゼニになるものではないが、ながい目で見れば、今の二分の一の資源でもやっていけるようになれば、中国は必ず最後に笑う少数の国のひとつになれると思う。
偉人毛沢東の詩詞にある「いだるところでウグイスがさえずり、ツバメが飛び交う」桃源境のような世はユートピアの世界かもしれないが、最大多数の中国人が豊かな生活ができようにするため、大草原や大雪山の土と化した先人たちの理想を実現するため、これから、「死力を尽くして」節エネ、環境保全の技術の開発に取り組むべきだと思う。
「北京週報日本語版」2008年2月1日 |