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◇非典(SARS)について◇
~大学生の作文が訴えるもの~
元南京大学日語科教師・斎藤文男  ·   2020-08-14  ·  ソース:北京週報
タグ: 南京大学;感染症;中日交流
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~交際交流・協力を進めた「非典」の利点~

「非典」(SARS)が世界中に広がっていることは、地球の一体化と関係がある。というのは、世界各国、各地域間の政治、経済、文化の交流が活発になり、ウイルスも一カ国から他国へ急速に伝わり、疾病も一瞬に世界各国に拡大するようになった。

しかし、非典とグローバル化の関係は、そう単純ではない。なぜかというと、国際交流、協力も非典を制圧、治療する上での鍵となるからである。例えば新たな疾病を理解、制御するために、10数カ国の科学者が「国境なく」協力し、数週間近くの後に、「SARSコロナウイルス」を発見することが出来た。このように大規模な世界的科学者の協力は、今回が初めてである。また、非典制圧へ協力するためにG8(主要国首脳会議)も共同行動をとり、「保健に関するG8行動計画」を採択し、疾病監視・研究・診断における世界規模の協力と努力を要求した。

逆に言えば、非典は各国間の交流・協力をさらに進めたとも言える。これは非典がもたらした面倒さの裏にある大きな利点でもあると思う。(YE)

~学んだ経験、教訓活かして禍を福にしよう~

「禍転じて福となす」。すべてのことは、悪い面もあれば良い面もある。今度の非典も然り。学校は封鎖・管理・休校となり、商店は閉店・開店休業。交通運輸・サービス業なども大変な打撃を受け、経済への影響は計り知れない。人々へのストレスやパニックなど精神的にも大きな影響を与えた。

一方、非典のおかげで、人々の衛生習慣が良くなってきた。帰宅したら手を洗い、嗽(うがい)をする。お風呂が好きになり、部屋の風通しなどにも気を付けるようになった。それに、野生動物の食用が禁止された。公衆衛生の面でも前とは一変し、痰を吐くことがほとんど見られなくなった。

さらに、我々は非典から色々なことを学ぶことが出来る。これからはこのようなことにどう対応するか、どう予防するか、また、行政管理として政府の取るべき態度や政策、情報公開の重要性、感染者が社会に対して持つべき責任などいろいろあると思う。

非典の事をそのまま過去のことにするのではなく、今後を目指してそこから学んだ経験や教訓を身に着けることが大切だと思う。こうしてこそ、禍を転じて人間全体の福とすることが出来るのだ。(CH)

~生命の価値や意義を悟らせてくれる~

SARSは突然、私たちの生活に闖入して、悪魔のように人々をじっと見ている。たくさんの人間がSARSで亡くなってしまった。どこでも消毒水のにおいが空気にみなぎっている。道を行き来する人は、みなマスクをかけて怖がっている顔をしている。しかし、あらゆることには二つの面がある。SARSも同じだ。

人々は一緒にSARSと闘う戦友になって、以前よりずっと親しくなった。久し振りに連絡した友達にも安否をたずねた。両親は毎日電話をかけてきて「心配しないで、母さんと父さんが傍にいるから。気をつけてね。」と言ってくれる。

人々は以前の不健康な生き方を反省して、いい習慣を身につけるようになった。生活はずっと順風満帆ではない。SARSは私たちにとっては試練である。SARSを前にして、私たちは平静に苦境と直面することを学んだ。SARSが来たけれど、私たちの生活は依然として続く。SARSは私たちの富になって、生命の価値や意義をいっそう悟らせてくれるだろう。(GT)

「北京週報日本語版」2020年8月14日

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