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◇「広島訪問」後は日本が行動を◇
~ハワイ、南京での献花につなげよう~ |
斎藤文男(元・南京大学日本語学部専家) · 2016-06-06 |
タグ: 広島;G7;社会 | 印刷 |
◇「広島訪問」で「南京訪問」を想像◇
駆け足の米大統領「広島訪問」だったが、今度は日本の首相が行動する番だ。米紙ワシントン・ポスト紙は、オバマ大統領の広島訪問の記事で「安倍晋三首相が米ハワイ・真珠湾を訪問しなければ驚きだ、とする米政府高官の話を伝えた」(29日、毎日新聞)という。28日の産経新聞では、中国の王毅外相が「広島は注目されるべきだが、南京も忘れてはならない」と語った記事の中で、9月に中国の浙江省杭州で開かれる20カ国・地域首脳会議で「オバマ大統領や安倍晋三首相ら参加する首脳を、南京市の南京大虐殺記念館に案内する案を中国・共産党内部で検討し始めている」と報じている。
真珠湾訪問について、安倍首相は慎重な方針を示しているが、南京市には是非訪れてほしい。日本政府はすでに村山富市首相が1995年、戦後50年の「村山談話」と、60年の「小泉談話」で中国、韓国など近隣諸国に正式に謝罪している。その後の首相もこの談話を継承しており、安倍首相も戦後70年の昨年、「安倍談話」を発表し「歴代内閣の立場は、今後もゆるぎないものであります」と基本的に継承する立場をとっている。
しかし、談話が発表された後、南京の虐殺事件が否定されたり、靖国神社参拝を繰り返したりして「歴史認識問題」が日中間で喉に刺さったトゲのようになり、いつまでもわだかまりがとけない状態になっている。
現地に行かず口先だけで「謝罪」を表明しても、現地の人々の心には響かない。日本の現職首相は、村山富市(95年5月、北京・盧溝橋)、橋本龍太郎(97年9月、瀋陽・九・一八記念館)、小泉純一郎(01年10月、北京・抗日戦争記念館)の3首相が日中の“戦争拠点地”をすでに訪問しているが、現職首相として南京を訪れた人は誰もいない。
オバマ大統領の広島訪問を、安倍首相が南京を訪問するシーンに想像しながら私はテレビ中継を見ていた。被爆者個人としては「謝罪」を求める気持ちを胸の奥に抑えて、広島全体としては「歓迎」している姿を見て、南京大虐殺の被害者のことを考えていた。オバマ大統領は「謝罪」を言葉にはしなかったが、「旅の途中で何度も原稿を書き直していた」(6月2日、時事通信・毎日新聞)だけに、スピーチの随所にその気持が込められているのを感じた。安倍首相が南京を訪れ、日中間の喉に刺さったトゲを一刻も早く抜いてくれることを期待している。
「北京週報日本語版」2016年6月6日
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