2017年の年初、世界に最も影響を与えた事件は米国のトランプ大統領就任だった。この「政治の門外漢」はこれまでの政治家が就任するとがらりと態度を変えて選挙公約に背く不誠実さを改め、就任後すぐにてきぱきと有権者への公約を実行に移した。そのうちアジア太平洋地域にとって影響が最も大きい措置は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱だ。トランプ大統領は2つの同盟国の士気を安定させようと新国防長官を日本と韓国に派遣し、安全保障の上では選挙公約に背き、日韓に対しより多くの安全保障費用を求めることはないかもしれない。しかしオバマ前大統領のアジア太平洋リバランス戦略はすでに半ば崩れかけている。こうした崩壊は当然ながら東アジア地域情勢の動向に重大な影響を与える。そのため、ASEAN諸国は米国指向から中国指向に転じると言う人もいる。しかし事実上、東アジア地域の協力はグローバル化の本質と正しい方向を体現しており、どんなことがあっても粘り強く前へ発展していくだろう。
中国・ASEAN関係は「アジアの世紀」の礎
「21世紀はアジアの世紀だ」。この言葉は20世紀後期には世界の共通認識になっていた。この論断のベースになっているのは、1980年代に始まった東アジア地域の持続的高度成長と、世界の3の1を占める東アジア地域の人口規模と資質の高い労働力だ。このような持続的成長をもたらした主な原因は、経済的に見れば主に米日資本が大量に東アジア地域へ移転したことと、米国市場の東アジア地域に対する開放であるように思える。しかし資本を安心して同地域に投じられる政治的条件は、地域の政治的安定である。こうした安定はいくつかの面から来ている。1つは中国が改革開放を実行していること。2つ目は中米戦略関係がほぼ安定していること、3つ目は中国と日韓、ASEAN諸国の政治的関係が対立から協力に向かったこと。4つ目は地域内のほとんどの国の政治体制がほぼ安定し、国家による管理が有効に行われていることだ。このうち、中国とASEAN関係の全面的進展が地域の政治的安定と経済繁栄にとってキーとなる役割を果たしている。
中国とASEANは国境を接する国も多く、血脈を同じくする近隣関係にある。さらに近代に入ってからは栄辱を共にした。冷戦時代、一部の東南アジア国家と中国はイデオロギーが異にしたが、平和共存5原則に基づき、非共産党国で構成された旧ASEANは西側が中国に対抗するためのツールにならなかった。冷戦後、中国と旧ASEANとの関係が全面的に改善され、ASEANが包括的地域協力組織になっていくにつれて、中国・ASEANの協力関係は絶えず新たな段階に進んできた。