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天皇の「退位」メッセージに込められた「言外の意味」
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· 2016-08-09 |
タグ: 安倍政権;憲法;政治 | 印刷 |
今年82歳になる日本の明仁天皇は8日午後ビデオメッセージで、高齢と体力の衰えにより国の象徴としての公務を遂行することが「困難」になったとし、強い「生前退位」の意向を示した。その後安倍晋三首相は、明仁天皇のビデオメッセージの内容をしっかりと考えていくと述べた。
明確な指向性?
明仁天皇の今回のビデオメッセージで、注目に値する点は2つある。
一つには、退位の考えを明確に述べ、しかも「摂政」の形を取るつもりはない理由を説明している点である。かねてから表現が曖昧な日本の天皇の発言にあって、今回はこの問題について極めてはっきりと述べられており、今後の天皇退位の過程における様々な変数がなくなった。これによって、日本政府は近いうちに「皇室典範」改正の作業に入らなければならず、複雑な国会審議と議論を経る必要もある。客観的に見て、これによりまもなく始まる憲法改正のプロセスが遅れることになる。
もう一つは、「憲法」に繰り返し触れ、特に天皇の現行憲法に基づく「象徴」という地位を強調していた点だ。自民党がこれより前に発表していた憲法改正草案で、「天皇」に関する条文に「国家元首」としての職能が追加されていることを考えると、この点は非常に重要である。
天皇が「国家元首」であるという言い方は、戦前の「大日本帝国憲法」に見られる。そして今、安倍政権の憲法改正草案はそれを復活させようとしている。こうしたことを背景に、明仁天皇は現行憲法に何度も言及し、天皇は「象徴」に過ぎないという点を繰り返し強調しており、明確な指向性があった。
明仁天皇は今回、天皇は現行憲法に基づく「象徴」に過ぎないことを明確に指摘し、「国政」に関する権能とは無関係であることを強調した。この態度表明は政治的に「一分のすきもない」ものだが、右翼や保守勢力が今後天皇制を利用して国家神道と旧日本のイデオロギーを復活させる可能性も封じた。
平和主義の傾向
日本の現行「皇室典範」は「旧皇室典範」を踏襲しており、「皇位継承は天皇の崩御を前提とし、存命中の退位はできない」と定めている。従って、この事前に録画されたビデオメッセージで、明仁天皇は直接「退位」という言葉を使ってはいない。
この1カ月、日本国内は天皇の「生前退位」を巡る話題で沸き返っていた。NHKや共同通信社など主要メディアは7月13日夜、天皇に「生前退位」し、皇太子徳仁親王に譲位する意向があると報じた。しかし、宮内庁は当日深夜にこの件を否定していた。
日本の現行憲法は天皇が政治的な問題に干渉することを禁じており、天皇の態度表明は曖昧なものになることが一般的だ。しかし明仁天皇は力の及ぶ範囲で、自らの平和主義的傾向を示した。
「北京週報日本語版」2016年8月9日
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