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米国のアジア太平洋回帰戦略はかけ声だけではない
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安剛 · 2016-02-03 · 北京週報 |
タグ: 米国;アジア太平洋回帰戦略;政治 | 印刷 |
第4に、アフガニスタン安全情勢の起伏が激しく、アフガニスタンとパキスタンを跨ぐ国境地帯でタリバン勢力の活動が依然として活発であるため、オバマ政権は2015年10月にアフガニスタンからの米軍撤退計画を見直し、完全撤退のスケジュールを遅らせざるを得なくなった。やめようと思ってもやめられず、撤退したいのに駐留を続けざるを得ない状況にある。
第5に、地政学的な戦略競争は新時代の米国対外戦略の唯一の検討事項ではなくなっており、最重要事項かどうかについて論議すら起こっている。テロ対策と本土の安全防衛が依然として米国の世界戦略図において長期的に優先的な位置にあることは避けがたく、気候変動など世界的な問題でも米国はかなりのリーダー的役割を果たさない立場に立たされるだろう。
第6に、中国はすでに米国に次ぐ第2の経済体であり、世界的影響力が急速に高まり、経済貿易から気候変動に至るまで広範な分野で米国にとって欠かすことの出来ない協力パートナーとなっている。地域レベルと世界レベルの多くの問題で、米中協力が必ずしも成功するとは限らないが、米中が協力しなければ事が上手くいかないことは間違いない。この点についてワシントンは暗黙のうちに了解しており、対抗的な対中政策に転じることは避けている。
21世紀において全世界が認める歴史的趨勢は、中国が最も重要な変数であり、アジア太平洋地域が日増しに世界経済、政治、戦略の舞台の中央に躍り出ていきつつあるということだ。オバマ大統領の後に誰がホワイトハウス入りしても、米国はより多くの精力と資源をアジア太平洋地域に注ぐだろう。しかし米国は霸権が高まり拡張する歴史サイクルにはなく、次の大統領がどれほど強硬になっても、米国が本当にその戦略の重心を欧州と中東の一線からアジア太平洋へと移す可能性はそう高くはないだろう。中国の対応に力を集中させる可能性となるとさらに低くなる。
(安剛・北京週報特約評論員、盤古智庫研究員)
「北京週報日本語版」2016年2月3日
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