今回の報告は、中国環境保護部(省)環境計画院と南京大学による専門家チームが、2年あまりにおよぶフィールド調査、研究、統計、分析、推計を取りまとめて完成させた。報告によると、全国大気汚染防止行動計画の実施にあたって必要な直接投資額は1兆8400億元と、以前の予想(1兆7千億元=約19兆2300億円)を8%上回った。必要投資額を項目別で見ると、全国エネルギー構造の合理化が2884億元(約5兆5500億元)、汚染源の移動・防止処理が1兆4067億6600万元(約27兆600億円)、工業企業の汚染処理が915億4400万元(約1兆7600億円)、ノンポイント汚染源(汚染物質の排出源が面的に散在し特定することが困難な汚染源)の処理が615億7200万元(約1兆1200億円)。大気汚染対策のための必要直接投資額を3大重点エリア別で見ると、北京・天津・河北エリアが2490億2900万元(約4兆8千億円)、長江デルタエリアが2384億6900万元(約4兆6千億円)、珠江デルタエリアが903億5800万元(約1兆7400億円)。統計データによると、北京・天津・河北エリアでの投資で最も必要とされる項目は工業企業の汚染処理、長江デルタエリアと珠江デルタエリアは汚染源の移動・防止処理だった。
報告によると、中国には今のところ、大気汚染対対策を安定的かつ効果的に実施するための投融資体制が確立されていない。また、中央財政による投入額(2013年は50億元、2014年は100億元)と実際の需要額との間には、かなり大きなギャップが存在する。このような状況から、中国の大気汚染対策は引き続き、全体的な資金不足に陥っており、「政府財政だけに過度に依存している」「融資ルートが単一」といった問題が解決されないままだ。