トランプ大統領が起こした他の経済体との貿易戦争を見てみると、いずれもまず法外にふっかけて高圧的に出た後で、相手が妥協し、自分が勝利したことを宣言してから交渉を開始し、自分の出した極めて不平等な条件を相手に飲ませている。中米貿易戦争でも、トランプ大統領はこのやり方で行こうとしているように見える。

しかし、中米貿易戦争が始まって１カ月、中国は妥協しないばかりか、真っ向から対立して報復措置を講じ、同時に確たる理由と証拠によってＷＴＯ枠組み内で訴訟を起こし、国際ルールの枠組み内での紛争解決を望んでいる。これはトランプ政権の荒っぽいやり方と明らかなコントラストをなしており、国際社会から支持されている。

さらに重要なのは、トランプ大統領の起こした貿易戦争が中国経済に実質的なダメージをもたらしておらず、中国政府がすでに持久戦の準備を整えていることだ。

これはトランプ大統領が目にしたくなかった事態である。中米間の経済貿易が本当に摩擦を起こし停滞した場合、中国経済が影響を受けるのも確かだが、米国のほうもそのダメージに耐えきれないだろう。

２０１７年の中米貿易額は５８００億ドルで、２０１７年の米国輸出入総額の１５％近くを占める。中米貿易が停滞すれば、米国の輸出入貿易へのダメージが中国の受けるダメージより小さいということはないだろう。また、２０１７年の中国の対米輸出は４３００億ドルで、米国の対中輸出は１５００億ドルだった。つまり、中米貿易が停滞した場合、中国にとって米国からの輸入の代替として必要な輸入額は１５００億ドルだが、米国にとって中国からの輸入の代替として必要な輸入額は４３００億ドルにも上り、しかも他の経済体で完全に中国の商品に代替できるものを見つけられるかどうかはなんとも言えない。ひとたび中米貿易戦争が持久戦に入り、特に中国からの輸入商品が全て米国の関税対象リストに入れば、米国社会にどのような反応が起こるかを、トランプ大統領も考えたことがあるはずだ。

中国が屈服せず、持久戦の準備を整えている中で、最初に動きを見せたのはトランプ大統領だった。トランプ大統領は「米国が中国との貿易戦争で勝利しようとしている」と宣言したと同時に、中国との交渉を匂わせているのだ。

中国との交渉で、平等を基礎として互恵・ウィンウィンの共通認識に達するというのが中米貿易戦争の最終結果だろう。軽く手合わせをして相手の力を知り、その後で礼儀を失わず交渉のテーブルにつく。実にいいではないか。荒っぽい野蛮人よりましだ。

もちろん、交渉のテーブルにつく前に自分の勝利を宣言し、自分のメンツを守り、自分のために引っ込む機会を探しておくというのも、中国人にとっては完全に理解できる話ではある。

「北京週報日本語版」2018年8月14日