▽経済バージョンアップの歩みは続く
それでは「中国の不良債権」は実際にはどれくらいのリスクになるのだろうか。オーストラリアの金融グループ・マッコーリーセキュリティーズグループの中華圏チーフエコノミストの胡偉俊氏は、「ここ数年、中国の債務は急速に増加し、企業の債務は大きな問題をはらんでいるが、短期的には債務危機が発生する可能性は低い」と予想する。
このほど発表された第1四半期(1-3月)の工業データをみると、中国経済はモデル転換・バージョンアップの傾向が明らかだ。ハイテク産業の付加価値は前年同期比9.2%増加し、工業全体の伸びを3.4ポイント上回った。電子産業の付加価値は同8.6%増加し、軽工業の利益は同13.3%増加し、繊維産業の利益は同6.4%増加した。有色金属産業、石油化学産業は川下の産業に引っ張られて、付加価値が9.4%と7.9%、それぞれ増加した。インターネットなど経済の新局面が加速的に発展し、電気通信事業の総量は45%増加し、モバイルデータの総消費量も前年同期の2.3倍に増えた。
国際通貨基金(IMF)の李昌鏞(イ・チャンヨン)アジア太平洋担当局長は、「中国経済が10%の成長率を永遠に維持することは不可能だ。一国の経済規模と資産水準が上昇を続けるのにともない、経済成長ペースは鈍化し、『収束効果』が現れるのが当たり前だ。中国経済の成長率は2020年には6%前後になるだろうが、他国と比べればまだ相当高い成長率であり、世界の中で引き続きトップクラスだ。中国経済の成長率は鈍化が予想されるが、これは経済がより持続可能な状態に向かうことの当然の結果だ」と話す。