シャープは25日、臨時取締役会を開き、フォックスコン・テクノロジー・グループ(富士康科技集団)の親会社である鴻海(ホンハイ)精密工業からの7千億円規模の買収案を受け入れることを決定した。意外にも、買収側のフォックスコンは、同日遅い時間に緊急声明を発表、契約を暫時見合わせることを明らかにした。フォックスコン側が契約を遅らせたのは、シャープが24日、「約200億元(約3500億円)の偶発債務(現実にはまだ発生していないが、将来一定の条件が成立した場合に発生する可能性がある債務)がある」という新たな情報を発表したことに原因がある模様。これらの憶測について、フォックスコンは現時点でノーコメント。だが、関係者は、「フォックスコンは24日、シャープから、約3500億円分の『偶発債務』リストを受け取った」と漏らしている。国際商報が伝えた。
〇ホンハイの買収意図とシャープの選択
実のところ、フォックスコンはずっと、利潤率の低いOEM業務以外の分野での業務開拓を進め、高級モジュール生産分野の開拓に尽力してきた。中国現代国際関係研究院日本研究所の劉雲・アシスタント研究員は、「フォックスコンはかつて、自主ブランドの開発や端末機器ブランドの発展など一連の新戦略を発表した。今回のシャープ買収計画も、液晶パネル生産分野でのシェア拡大という意図が表れている」と指摘した。
このほか、ホンハイの郭台銘・董事長(会長)は、かつて、有機エレクトロルミネッセンス(EL)パネルへの投資について言及したことがある。郭董事長は、シャープ買収後、シャープの小型液晶パネル工場に出資し、有機ELパネルの量産を実現することを計画している。同氏はまた、現在シャープと共同で経営している、大阪府堺市にある堺ディスプレイプロダクト株式会社(SDP)に有機ELテレビの生産ラインを導入することも考えている。
米アップル社の存在も、今回の買収で考慮すべき要因のひとつとなった。フォックスコンは、4年あまり前から、シャープを買収したいという意図を持っていた。というのも、シャープは、アップルiPhoneの液晶ディスプレイを生産するサプライヤのひとつであり、フォックスコンはずっと、OEMより利潤率が高い、アップルiPhone液晶ディスプレイのサプライヤとなる機会を伺っていたからだ。