2010年は外国企業の中国での投資や経営における新元年と言っていいだろう。30年近くの長きに及ぶ外資企業の「超国民待遇時代」は、12月1日で正式に終わりを告げた。
中国政府は1日から、中国における外資企業、外国企業、外国籍の個人に対し都市維持建設税と教育費付加税を徴収し始めた。これにより、中国国内における国内資本企業と外資企業の税制が全て統一されたことになる。
特別な税収優遇政策は中国国内の外資企業が享受してきた「超国民待遇」のシンボルであり、改革開放後に中国が外資を誘致する上での重要な手段の一つであった。
アナリストが語ったところでは、平等な政策・制度と市場環境が整ったことで、今後国内企業と外資企業は同一の舞台上で公平な競争を展開することになるだろう。
中国社会科学院世界経済・政治研究所の姚枝仲研究員によれば、市場競争環境がより公平で最適化され、分割されたいびつなものでなくなったことは、高効率の外国企業にとってはチャンスが広がることにつながるという。
「外国企業の中国への投資環境が悪化したということではない」。姚枝仲研究員は言う。
改革開放初期、中国は外貨不足と技術不足の「二つの不足」に直面していた。外国からの借款を受けていた発展途上国もあったが、中国が取った措置は外国からの直接投資誘致だった。
当時、中国は市場経済体制が完備されていなかったため、外国企業の投資は難度が高く、制度に対応するための付加的なコストが発生した。そのため、中国政府は国外からの投資家に税収減免を始めとした「超国民待遇」保障を提供した。
外資企業に対する「超国民待遇」は1990年代にピークに達し、税収だけでなく、土地参入や行政審査・認可などの面でも、きわめて大きなメリットと利便性を享受した。
2008年に国内資本企業と外資企業の所得税税率が25%に統一されるまで、外資企業の税率は15%であった。一方、国内資本企業の税率は33%にまで達していた。
中国の市場経済体制が完備されていくにつれて、外資企業の制度対応のためのコストは著しく低減し、外国企業に対する「超国民待遇」撤廃は必然的な流れとなった。それはWTOの関連既定にも合致していた。
研究機関によると、外資企業は数々の「超国民待遇」を享受してきたため、経営コストが国内企業よりもかなり低く抑えられており、生産効率向上に努めなかったとしても、中国国内で生き残り、発展していくことが可能だという。
国家発展改革委員会対外経済研究所の張燕生所長の考えによると、政策や制度的なてこ入れを行って公平な競争環境を創出することが必要だ。公平な競争環境はすべての企業にとって効率や技術レベル、管理レベルの向上に役立つからだ。
張所長は「外資企業は公平な競争という新たな環境に適応するべきだ」と語る。
各種市場主体の公平競争に適応した市場秩序の確立は、中国が市場経済体制を完備するための核心と見なされている。一方で、外資企業の「超国民待遇」撤廃も中国の市場経済体制完備への重要なステップであると見られている。
国務院発展研究センター対外経済部の趙晋平副部長は、西側諸国は中国の市場経済体制完備の政策・措置を全力で支持するべきである、と語っている。
青島の韓国資本企業、優先出鋭工具有限公司の梁元俊総経理は、「政府の外資企業に対する税収優遇策の撤廃は驚くに値しない。中国企業と同じ舞台で競争して初めて国際市場でもっと競争力を得られるからだ」との考えを示した。
都市維持建設税と教育費付加税を徴収する前にも、中国は1994年からすでに国内資本企業と外資企業の税収制度統一に着手し始めている。増値税、消費税、営業税、企業所得税、都市土地使用税、車船税、耕地占用税、不動産税など、それまでは国内資本企業と外資企業とで別々に設けられていた制度が相次いで統一されている。
中国は2001年にWTOに加盟した際、世界のスタンダードに合わせ、市場経済体制に必要な条件を備えるために、外資企業の「超国民待遇」を次第に撤廃していくべきであるとの意向をすでに打ち出していた。
温家宝中国国務院総理はこのほど、中国のすべての外資企業は「内国民待遇」を受け、自主革新、政府調達、知的財産権保護の面で、中国政府は国内資本の企業とまったく平等に対応する、と重ねて言明した。
「内国民待遇」原則はWTOの無差別貿易原則の基本だ。「内国民待遇」は外資企業も本国の企業も平等な待遇を受けるべきであることを意味するだけでなく、外資企業は国内企業よりも優遇された政策を享受できないという意味でもある。
現在中国にある約29万社の外資企業や、これから中国に進出する外資企業にとって、中国への投資で今最も重要な要素は、安定した政治社会環境、長期的経済発展、豊富で優秀な人材、巨大な市場潜在力だ。
現在、中国は経済発展モデルの転換を加速している。そして、内需の巨大な潜在力を掘り起こし、内需、特に住民消費需要を拡大することは、経済発展モデル転換のためにも重要なのである。
「北京週報日本語版」2010年12月6日
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