答 土地を失った農民への補償問題については、政府は04年に各地方政府に対し、第1に農民の生存権を保障し、第2に農民の発展権を保障しなければならない、と明確な規定を設けた。まず、農民の耕地や基本的な農地を勝手に占用してはならず、土地を失う農民の数をできるだけ減らすということだ。次に、耕地を占用された農民に対し、関係機関や事業体は、国の耕地の収用・占用に関する補償政策に基づいて合理的な補償を与え、補償金を即時、全額農民に支給しなければならない、というものだ。しかし、これまでに、ある地方では土地を収用するに当たって、農民の利益を保障することを注視せず、そのため一部の農民は生活苦に陥り、不必要な問題や集団による陳情が起きた。これも農村の一部の地方を不安定にしている要因の1つだ。
統計によると、工業化と都市化が進むに伴い、農民から収用した土地は毎年約20万ヘクタールに達しており、この数字は、毎年およそ100万人の農民が耕地を失っていることを示している。こうした状況のなか、農民の生活水準が低下することなく、また将来の生活を保障するとともに、利益の侵害による問題と紛争を減少し、解決するために、政府は次の4つの面で農民の利益を保証していくことにした。
第1は、耕地の占用に関する審査認可だ。各地方政府は審査認可制度と手続きを厳格に順守し、土地収用の統一年間面積基準または区域の総合的地価を早急に制定して公布し、とくに工業用地については、入札、公示、競売などの制度を実施し、低地価での譲渡は認可しない。同時に、法的土地収用補償金の基準を引き上げ、農民への補償金支給に関する公示制度を確立して、支給の透明度を高める。
第2は、土地を収用された農民への補償金の支給方式の改革だ。実名のキャッシュカードまたは預金通帳を通して、補償金などの関連費用を農民に直接支給し、中間ルートを通さないことで、滞りや横領、流用を防止する。
第3は、地元政府が農村での第2、3次産業を発展させて就業先を拡大し、土地を収用された農民を職に就かせることで、生活水準が低下しないよう保障することだ。このほか、無料による職業斡旋や職業訓練を1回受ける場合は補助金を支給する。都市計画区域内で失業登録した土地を収用された農民は、小口の担保融資を申請して小幅な利益の商売に従事する場合は、50%の財政利子補給を享受することもできる。
第4は、土地を収用された農民が社会保障に加入し、必要な個人負担金を支払う場合、支給された土地補償金や関連補助費から直接納められるようになったことだ。地方政府は土地譲渡収入の中から一部資金を、土地を収用された農民の社会保障支出に充てることで、農民の生活を長期にわたって保障するメカニズムを確立することにしている。
長年にわたり、土地の譲渡収入は主に都市建設と土地開発に用いられ、農村のインフラ整備への資金投入は余りにも少なすぎた。今回の政策変更で、政府はさらに土地譲渡収入の使用範囲を調整し、新しい農村の建設にさらに振り分けることを明確にするとともに、土地収用と建物撤去の補償金を全額支給することにした。土地を収用された農民のさまざまな社会保障支出や関連費用を補助することで、農民の生産や生活条件、居住環境を改善し、生活を質的に向上させていく方針だ。 |