12月3日午前10時、『南京大虐殺史料集』第29-55巻の発行式が南京鳳凰台飯店で盛大に行われた。第1-28巻は05年に出版され、内外でかなり長期にわたり強い反響を呼んだ。内外のメディアが南京大学を取材。同時に、日本政府の関心も引き起こした。日本の外務省公式HPと在日本中国大使館の公式HPは現在も、この史料集に関する専門コラムを掲載している。05年から、南京大学南京大虐殺史研究所は南京地区の大学や研究機関とともに、再び教授や学者を組織して日本や米国、英国、ドイツ、台湾などで資料収集を開始し、努力を重ねて1000万字を超えるオリジナル資料を取得。教授陣が整理し、翻訳・編集した第29-55巻は、江蘇人民出版社から07年11月に正式に出版された。
同巻は主に「国際検察局公文書と米国主流メディアの報道」「ドイツ大使・領事館公文書」「英国大使・領事館公文書」「日本軍公文書と士官・兵士の日記」「日本軍士官・兵士の日記」「日本の軍国主義教育、百人斬りと在南京領事館の史料」「生存者調査口述資料」「受難同胞者名簿」と中央政府と市民の財産損失に関する調査と統計資料からなる。
『南京大虐殺史料集』編集主幹の張憲文教授は発行式で「55巻からなる史料集は、私たちが研究作業を行なったうえで、南京大虐殺の研究をさらに理性化し、科学化したものです」と強調。発行式後の取材で、張教授は感慨深げにこう語った。「南京大虐殺は一つの歴史事件であり、永遠に論議されるべきではありません。もし南京大虐殺の問題が歴史学界で長期に論議される熱い話題にでもなれば、中日関係の間でも焦点となれば、それは中日両国にとって悲劇です」と指摘した。
中国社会科学院近代史研究所の歩平所長は発行式で「南京大虐殺は私たちの民族の歴史で一つの非常に重要な歴史の記憶ですので、単に幾つかの概念や、幾つかの名詞として簡素化させてはなりません。出版された史料集は、私たちの歴史の記憶をより形象的なものに、より深刻なものにしてくれます」と指摘。さらに「もし簡単に言って、中日双方が共通の歴史認識をもてないとすれば、私個人としては、現段階ではやはりこれは疑念を抱かざるを得ないことだと考えています。中日双方は現在まだ、共通の歴史観、共通の歴史的認識をもつという基礎は備えていません。ですから先ず、歴史の事実をともに理解することが必要です。私はこの史料集を手にしたら先ず、日本側の研究者たちに送り、共通の歴史資料を踏まえても、まだどのような異なる歴史認識があるのかを見てみたいと思っています。この史料集が共同の歴史研究にとって重要な基礎となるのです」と強調した。
「北京週報日本語版」2007年12月10日 |