日本は北京五輪に対して一種特別な思い入れがある。8月6日と9日は広島、長崎の原爆記念日にあたる。毎年この週になると、日本のメディアのほとんどが「戦争」を題材にし始める。また、開幕式のちょうど2日前、「ギョーザ中毒」事件が再発し、「戦争」と「ギョーザ」が「北京五輪」に影響するのではと、人々は少し不安になった。だが新聞をめくると、そんな心配をよそに、「北京五輪」の真っ赤な写真が各紙の一面を飾っていた。(文:日本JCC新日本研究所の庚欣副所長)
興味深いのは8月6日、一面で「ギョーザ」を取り上げたものの、二面には日本の大手メーカーが中国に工場を立ち上げるといった記事や、北京五輪がビジネスチャンスをもたらすといった記事が続き、さらに5ページにわたって北京五輪に関する記事が写真とともに掲載され、まるで中国各紙のようだったことだ。実際この日だけではなく、日本では五輪前まで大体これと似たような報道の仕方だった。
8月8日の開幕式は日本ではNHKでのみ生放送。著名な歌手の谷村新司氏をゲストに招くことを早くに予告していた。谷村氏は80年代初期から中国を訪れ、現在は上海音楽大学の講師を務めている、中日友好事業にこれまで力を注いできた人物だ。谷村氏をゲストに選ぶこと自体が「世論の動向」を示している。4時間以上の(開幕式)実況中、谷村氏は常に興奮気味に知りうる限りの「中国事情」を日本の視聴者に紹介し、「すばらしい!」「見事だ!」という言葉を並べて開幕式を称賛。クライマックスで歌手の劉歓が登場すると、「中国音楽界の第一人者」と感慨深げに紹介した。日本のメディアは国民に大きな影響を与える。谷村新司氏の解説による効果は一部の欧米司会者の「言葉」とは異なり、日本の視聴者を啓発するものだ。漢字の分からない欧米人とは違い、中国の特色豊かな開幕式は、同じ漢字文化圏に属する日本人に「一衣帯水」の感情を持たせたことだろう。東京都の石原慎太郎知事のように中国に対して「変わった発言」をする日本の要人でさえ今回の開幕式に出席し、特に青年ボランティアの活力と礼儀小姐(コンパニオン)の美しさに驚いたという。日本の大手新聞は翌9日、ほとんどが開幕式の盛り上がりを大々的に報じた。「環球時報」が伝えた。
|