▽望みを中国へ託す
専門家は国際的な要素よりも日本国内の要素に注目している。
李克院長は「日本がかつて強みを持っていた電子、化学工業、自動車などの産業は、ここ2年間で迅速な構造調整が果たせなかった。日本の貿易赤字は今後も続くだろう。たとえ世界経済が好転したとしても、状況が変わるには半年から1年間が必要」と予想したが、一方で「日本経済は短期的には改善しにくいが、日本が現在講じている措置から見るに、将来の発展は依然として期待に値する」と強調。「例えば産業の構造調整の問題だが、日本は昨年末にこの問題を意識し始め、各大企業が積極的な措置を打ち出して調整を始めている。また、日本政府も産業のアップグレードを加速させている。競争力の無い企業を淘汰し、最終製品ではなく技術研究開発により多くの精力を注いでいる。リチウム電池、太陽エネルギー、ロボットなど、次世代製品の研究開発こそが5年後、10年後の重点となる」と指摘した。
李克院長はまた、「日本経済は貿易だけを見て判断できない。日本は優良な海外資産を大量に有しており、戦略的優位の基盤となっている。中国が海外でいくつかの資源性企業を買収合併しているのとは違い、日本が海外で行っている買収合併はほとんどが業界をリードする核心部門が対象。短期的にははっきりとしたメリットが現れにくいが、長期的な経済戦略の発展にとっては非常に役に立つ」と指摘する。
欧米経済が短期的には改善しにくく、日本国内の産業調整にも時間がかかるという状況の中、日本メディアは中国に望みを託している。ある日本メディアは、「日本の輸出が活力を取り戻せるかどうかの要となるのは、対中輸出が回復するかどうかにかかっている」と報道した。
これについて、趙晋平副部長は「現在の情勢から見ると、中国経済は今年も依然として8%の成長率を維持できると見られる。これは、対中国輸出が輸出の2割を占める日本にとって好材料に違いない」と楽観的な見方を示した。
一方で、趙忠秀院長は「政治問題が経済に及ぼす影響は軽視できない。釣魚島問題の深刻化、日本の不安定な政局のほか、日本が米国に習って中国を抑制する戦略をとっていることなどは、いずれも経済交流に影響する」と懸念を示した。
これに対して李克院長は、「中国国内は政治の影響をあまりにも誇張している。日本の一部政治家の言論は、個人もしくは一部団体の意見を代表しているに過ぎず、実は日本国民の90%以上は政治に関心を持っていない。民意からの支持を得て、ここ数年間、中日の経済貿易交流はますます密接化してきた。中国に対する日本の見方も、生産・製造基地から消費市場へと変化した。双方が冷静かつ客観的な態度を維持することができれば、中日間の経済貿易交流はさほど大きな影響は受けないだろうと信じている」と語った。(編集SN)
「人民網日本語版」2012年8月28日
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