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オバマ大統領、ES細胞研究を解禁

先ごろ、オバマ米大統領は、公的資金を使った胚性幹細胞(ES細胞)研究に関する制限を解除することを宣言した。これは、06年7月、当時のブッシュ大統領が、米連邦政府のヒト胚性幹細胞への研究支援に対し、拒否権を行使してこれを退けたことの撤回であるが、これに対し、『第一財経日報』紙が海外の専門家の見方を紹介して分析を行っている。いま、オバマ大統領が米国の幹細胞研究を解禁したことでどのような影響が出るのか、同紙が華東師範大学生命科学学院医学研究所の博士課程指導教官である王媛教授にインタビューした。彼女は米国国立衛生研究所(NIH)の研究プロジェクトを担ってきた人物であり、その研究はES細胞と密接に関わっている。

米国から帰国したばかりの王媛氏は『第一財経日報』のインタビューに「その話は先日聞いたばかりで、詳しいことはまだ知らない」としつつ、「ブッシュ政権による幹細胞研究に対する制限は主に2つの側面がある。1つは素材に関わる制限、もう1つは公費使用の制限だ」と指摘。同氏の言う研究素材とは、科学者らが培養する胚性幹細胞の細胞株のことだ。ブッシュ政権は、同細胞株の樹立について、公的資金は01年8月9日までしか使えない、と規定した。胚性幹細胞の細胞株は、発育中の嚢胚の内部細胞塊から取り出したもので、皮膚、内臓、脊椎細胞など、あらゆるタイプのヒト細胞に転化させることができ、将来は早期の認知症やパーキンソン病、糖尿病、心臓病などの治療に道を開くカギとなる可能性がある。「ES細胞の分野は今の最先端研究で、将来の細胞・遺伝子治療に非常に大きな影響を与えるもの」と言う王媛氏は、嚢胚から生まれる細胞株は幹細胞を培養する「工場」のようなものだ、と指摘する。

ブッシュ政権が制限を設けてから、科学界はすでに数百種の幹細胞細胞株を研究開発してきた。ES細胞研究に対する制限は、バイオ医学研究の中で最も見込みのある分野の発展を阻むものだと多くの専門家が見ていた。「米国で研究していたとき、ごく普通の米国民が幹細胞研究に偏見を持っていることに気づいた」と王媛氏は言う。ES細胞研究には受精卵もしくは人体の早期の胚胎から取り出した胚性幹細胞が必要だが、一般の人々は、受精した早期の胚胎はすでにヒトであると考えており、ヒト胚性幹細胞の研究のために最終的に胚胎を壊さざるを得ないなら、それは殺人に等しいと考えているのだ。「欧米には倫理上の制限がたくさんある。むしろアジアのほうが相対的に寛容な幹細胞の研究環境がある」と王媛氏は言う。ES細胞を研究する科学者として、王媛氏は自らの考えを次のように述べた。「体外受精を行うとき、往々にして医師は念のため複数の受精卵を同時に準備しておくが、すべての受精卵をみな母親の子宮に戻すわけではなく、残った受精卵は通常の場合、廃棄される。そして、科学者は、廃棄されるはずの受精卵を使って引き続き体外で培養し、幹細胞を取り出す。どうして、これらの廃棄される受精卵を人類の将来に有益な研究に使ってはいけないのだろうか?それは資源の浪費ではないだろうか」。王媛氏が中国に戻ってES細胞の研究を続ける決心をした理由の1つは、中国では良好な研究環境が提供され得るからだという。「中国では医学的治療のための研究素材としてであれば、胚胎から取り出した残りの幹細胞を使っても倫理上の障害はかなり小さい」と彼女は言う。ES細胞研究には客観的に言えば2つの方向がある。1つは医学的治療のための研究、もう1つは最終的にクローン人間に発展していくような研究だ。これについて、王媛氏は「幹細胞を利用してクローン人間をつくるような研究は絶対に許してはいけない。それは幹細胞研究の聖域だ」との考えを示している。

オバマ大統領の今回の政策に対して一部のメディアは次のような解釈を行った。つまり、十分な研究資金が得られないため、米国の多くのES細胞研究者が研究を進展させるために国外流出しており、米国はこの研究分野でやや遅れをとっている、という論調だ。こうした見方に対して王媛氏は、「米国の幹細胞研究は今なお世界のトップレベルだ。専門家の国外流出という状況もそれほどはっきり見られるものではない」としつつ、「韓国の黄禹錫(ファン・ウソク)氏が世界で初めて患者から得た体細胞をクローニングしてES細胞を作製したとの論文を発表したとき、人々は、米国のES細胞研究がすでに遅れをとったと考えたが、最終的には黄氏のその論文も彼がその後に発表した幹細胞の培養成果もどちらもねつ造だったことが証明され、科学研究における米国の先端的地位は揺るがなかった」と指摘。さらに、「たとえ連邦政府の助成金が得られなくても、多くの人のプライベート資金が幹細胞研究に大量に投入されてきた」と指摘する。

また、中国の幹細胞研究については、「人材を蓄積する必要がある。それには一定の時間がかかるが、中国は大いに積極的能力があると信じている。中国ではこうした先端科学技術の研究がますます重視されてきている。私自身の中国におけるES細胞研究の計画にも大いに自信を持っている。それが、私が帰国を決意した理由だ」と述べた。

「北京週報日本語版」 2009年3月23日

 

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