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◇NHKのラジオ講座が面白い◇
~中国文化理解し、関係改善の契機にも~ |
斎藤文男(元・南京大学日本語学部専家) · 2015-12-01 |
タグ: 日中関係;中国語;中日交流 | ![]() 印刷 |
◇京劇俳優が日本人の漢詩を朗誦◇
11月号テキストの「相手と打ち解ける中国語」の中に、日中友好の漢詩として奈良時代の貴族・長屋王(ながやおう=684年~729年)の四言詩があった。このころの日中関係は互いに相手を思い合い、良好な関係だったことを思い出してもらうためにも、以下に紹介したい。
山川異域 風月同天
寄諸仏子 共結来縁
山川域(さんせんいき)を異(こと)にすれども 風月(ふうげつ)天(てん)を同(おな)じうす
諸(これ)を仏子(ぶっし)に寄(よ)す 共(とも)に来(らい)縁(えん)を結(むす)ばん
遣唐使の時代、仏教を尊崇していた長屋王は、千の袈裟を作って中国の僧侶に贈った。袈裟には金糸でこの16文字が刺繍されていた。意味は「私たちが生まれた国土は違いますが、天空を吹く風や、月には国境はありません。この袈裟を、仏教を学ぶみなさまにお贈りします。ともに永遠の縁を結ぼうではありませんか」というものです(NHKラジオ講座「レベルアップ中国語」47頁から)。
ユニークな講座内容で面白いNHKラジオ「レベルアップ中国語」のテキスト
中国語の講座なので、これを魯大鳴さんが現代中国語の発音で朗々と朗誦(ろうしょう)し、李洵さんが正確な四声と発音で朗読の見本を示してくれた。鑑真(688年~763年)は後にこの詩に感動して来日を決意する契機にもなったといわれる。日本で漢詩を読む場合はほとんどが訓読で読み下しているが、中国語で朗誦、朗読すると押韻の響きなどよくもわかり、より深く味わうことができる。
以前、NHKラジオ「漢詩を読む」の講座で石川忠久氏が現代中国語で朗読していたが、魯大鳴さんの朗誦は京劇の俳優だけあって、感情がよく表現され、1000年以上も前に作った作者の思いを十分に感じることができた。
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