◇賽珍珠記念館オープンしたが……◇
同じノーベル文学賞を74年前に受賞した米国の女性作家・賽珍珠(パール・バック)の記念館が今年5月、南京大学構内に完成した。賽珍珠の生誕120周年と南京大学創立110周年を記念して、賽珍珠が南京大学で教鞭をとっていた時に住んでいた建物を改修してオープンした。賽珍珠の銅像も新しく建てられた。銅像の裏には「賽珍珠 英文名Pearl S. Buck(1892-1973)、米国の作家。1919年から1934年まで金陵大学で教鞭をとる。この間、<大地>など代表作を執筆。1938年ノーベル文学賞を受賞。……」と記されている。金陵大学は現在の南京大学である。
南京大学構内の記念館脇に設置された賽珍珠銅像
賽珍珠が南京大学に在籍していたことは以前から私は知っていた。日本から友人が来たとき、何回か彼女の住んでいた建物を案内したことがある。しかし、記念館オープン後、入口のドアーにはいつも鍵がかかっている。
南京大学でかつて教壇に立っていた米国人で、ノーベル文学賞を受賞した女性作家の生誕120周年の記念の年に、中国籍の作家が初めて同じノーベル文学賞を受賞したことは、南京大学としても祝福してもよいのではないかと思う。中国籍作家の初の受賞が発表される5カ月前に、同じノーベル文学賞を受けた“先輩作家”の記念館をオープンさせたのも、莫言氏の受賞を祝う絶好のタイミングだったのに、なぜ記念館の門を閉じているのか不思議でならない。
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