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北京週報>>特集>>斎藤文男氏のブログ  
日中米に存在意義あるノーベル文学賞今・昔

 

◇映画の内容が日本人好み◇

院生たちに共通した理由は、「ストーリーは単純で、画面の風景や色彩が日本人の感性に合っている」とするものだった。

「日本人の美意識は、哀れとか、静寂とか、無常観などで、作品の中に淡い憂鬱が流れるものがいい作品といわれる。映画の中の景色もよく、耽美的な要素がある。」

中国人学生には物足りなかった映画「暖~ヌアン」DVDの表紙

「この映画は大喜びや大失望もなく、“もののあわれ”の雰囲気が漂っている。それが日本で人気となった最大の理由だろう。中国人はストーリー性が強く、強い感情を訴える真実に則する映画が好きだ。」

「淡い哀れの雰囲気、温かい人間心情、そして自然で耽美場面は、知らず知らずわれわれを感動させている。<タイタニック>ほど人の魂を揺さぶる力はないが、内心に深くあるものを触発する。それがこの映画にある最大の魅力だろう。」

「(主人公の)暖は夢から現実に戻って、自分は妻、母としての責任を引き受け、恨みも後悔もせず、自分の使命を履行していた。こういう悟りの過程はどれだけの涙と辛酸が入り混じったことか。これが審査委員や観衆を感動させたところであると思う。」

この時の国際審査委員長は中国の女優・鞏 俐(コン・リー)さんで、委員4人のうち日本人は1人だけだった。日本人にあった映画というより、理想や希望が簡単には実現しない現実の生活の中でも、懸命に生きていく姿に感動したのではないかと私は思う。

8年前の授業で観た映画では、学生にあまり感動がなかった映画だったが、今、中国では莫言氏の小説は書店で売れ切れになるほどの人気だという。農民目線で訴える莫言氏の作品は、これからの中国社会で、農作物や草木を育てる大地のような存在になるのではないだろうか。

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