本誌記者 蘭辛珍
中国製自転車が欧州でダンピングを行い、さらに政府補助金を受けているとして、EU(欧州連合)が中国のEU向け自転車輸出に対し貿易保護措置を取り始めてから丸20年が過ぎた。
2011年の中国のEU向け自転車輸出はEU市場自転車販売総数のわずか3%にすぎない。ダンピングはそもそも存在せず、ましてや欧州の自転車産業構造を損なうことはありえない。
単一商品で実施が最も長い貿易救済措置
EUが中国製自転車にアンチダンピング関税を最初に課したのは1992年。その後幾度にもわたるサンセットレビューのたびに、懲罰的関税率も高くなっていった。昨年10月に行われた直近のサンセットレビューで、EUは19年続いている自転車への課税期間をさらに5年延長して2016年までとし、アンチダンピング関税率を48.5%にすることを決定した。
欧州委員会は今年4月、中国産自転車とその他非機動二輪車製品に対する反補助金調査実施を決定した旨を発表した。
反補助金調査実施中の今年9月25日、欧州委員会は再び公告を出し、中国がインドネシア、マレーシア、スリランカ、チュニジア経由でEU市場に輸送している自転車に対しても反規則回避調査を実施すると決定したことを明らかにした。EUのデータによると、2009年~2010年、EUがスリランカから輸入した自転車台数は倍近く増加し、2010年EU自転車市場の5%のシェアを占めた。EUは、これは中国自転車メーカーのアンチダンピング関税回避行為と関係しているのではないかと疑っている。EU関連機関は9カ月以内にアンチダンピング関税額を増やすかを決定し、その後6カ月以内に最終的な措置を発表する予定だ。裁決が成立すれば、上記地域から欧州へと輸送される製品も課税されることになる。
対外経済貿易大学中国世界貿易機関研究院副院長の屠新泉氏は、「EUが中国製自転車にこれほど長期間アンチダンピング関税を課しているのは、やはり中国の自転車製品の輸出競争力が高く、アンチダンピング関税を取り消した後、欧州圏内の自転車産業に大きな影響を及ぼすことをEUが懸念しているためだ。これは貿易保護主義的傾向がもたらした結果だ」としている。
屠新泉氏はまた次のような見解も示している。「自転車アンチダンピング関税案件がこれほど長引いているのは、EU自身の拡大ともある程度関係している。EUはアンチダンピング制度上の柔軟性を利用し、EU拡大後の臨時レビューなど様々な理由と口実を設けて、対中国製自転車アンチダンピング関税課税期間をいつまでも延長しようとしている」。
屠新泉氏はさらに「EUのこのような制限は実際にはEU消費者にきわめて大きな不公平をもたらし、廉価な自転車を選択する権利を奪っている」とした。
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