第三に、中国企業がグローバル・スタンダードと結びつくことによって、国際ルールの制定権と発言権が強まっている。中国企業が海外進出を始めた当初、いくつかの企業は国際ルールとグローバル・スタンダードへの理解が足りなかったことから挫折の憂き目に遭っている。EUは製造技術標準、海外投資および貿易ルールの制定という面において一貫して世界のトップランナーであり、EUとの戦略的な深い結びつきは必然的に中国企業に企業マネジメントの改善を迫り、中国国内における法律規則の整備を促す。これは「一帯一路」が高度成長段階から質の高い成長段階へ進む後押しになるだけでなく、中国政府と中国企業が国際ルール制定の上で発言権を強めることにも繋がる。
最後に、グローバル・ガバナンスにおいて協力を促進し、人類が共同で取り組む問題に解決策を提示していることが挙げられる。アメリカが保護主義と一国主義に傾いていく大きな流れの中で、中国とEUの戦略的提携は世界第2位と世界第3位の経済体、さらには最も経済活力を備える東アジアを繋ぎ、「一帯一路」沿線国の経済発展と人々の生活改善を促し、貧富の差を縮め、暴動や戦争発生の原因をなくす手助けとなる。中国とEUは再生可能エネルギーと持続可能な発展における協力で、石油を基礎とする伝統的な地政学的局面を変化させ、より多くの国のエネルギー独立実現を助け、国際秩序がより公正で理にかなった方向へと発展していく上でプラスの効果をもたらすに違いない。また、中国とEUは「一帯一路」を担い手として、地域的な緊張・紛争、および貧困撲滅、気候変動、テロリズムなどといった伝統的な安全保障に含まれない問題に抜本的な解決方法を提示し、グローバル・ガバナンスがまさに直面しているリーダーシップと解決手段の欠如という問題を解くことだろう。
(王氷 北京科技大学外国語学院講師)
「北京週報日本語版」2019年4月24日