この5年間、「16+1協力」は政策的意思疎通の場として、一貫して高効率かつスムーズに運営されてきた。それと同時に、「16+1協力」は中国・欧州の相互連結推進のために良好な基盤を築き、この枠組みを通じて、中国は欧州における海と陸のシルクロードという基本的な配置を整えた。海のシルクロードは中欧陸海高速交通ルートを足がかりとし、陸のシルクロードは新ユーラシア大陸橋の建設と「中欧班列」(中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車)の効果的な運営を足がかりとしている。このほか、一連のハード面の連結プロジェクトも中欧・東欧で次々に始まっており、これとセットになったソフト面の連結プロジェクトも引き続き推進され、様々なレベルにおいて、効果が顕著なインフラ建設協力が行われてきた。「一帯一路」構想の枠組みの下で、中国と中欧・東欧の貿易協力は「進中求穏」(進歩の中で安定を求める)の状態にあり、投資協力は急激に成長した。中国と中欧・東欧諸国間の貿易には、貿易赤字と成長に変動があるという状況が見られるものの、この5年間、一貫して「進中求穏」の発展方向を堅持し、2国間に存在する貿易赤字問題を適切に解決してきた。「16+1協力」枠組みは「一帯一路」を積極的に後方支援し、多くの金融ツールを用い、多くの資金的保障を提供した。EU市場の金融支援ツール参入制限の問題を解決するため、「16+1協力」はあくまで「フレキシブルで、市場化された、実務的な協力」を主な方向性とし、金融面で一連の手配を行い、「一帯一路」構想下の金融協力における新たな注目点となった。また「16+1協力」は「一帯一路」構想下の「民心相通」(国民間の相互交流)を積極的に推進し、民間交流において一連の新たな取り組みを行い、中国と中欧・東欧との民間交流ルートを増やし、協力のレベルと規模を引き上げた。
さらに深化した実務協力を推進
今回のブダペストでの首脳会議は、中国と中欧・東欧諸国が協力を開始して5年目に当たる。今回の会議で、第19回中国共産党全国代表大会報告で示された中国の内政・外交における新たな措置が十分に説明され、「16+1協力」枠組みが過去5年間に上げた成果についても系統的な総括が行われ、今後しばらくの間の発展青写真が描き出されるだろう。
最も重要なのは、今回の会議で、「16+1協力」枠組みの発展方向性が決められることだ。それには、中国と中欧・東欧諸国双方の経済貿易分野における実務協力をさらに深化させる、経済貿易協力を新たな段階へと導くといった点が含まれる。そのために、政策的意思疎通の牽引作用を十分に発揮し、より多くの金融ツールを活用し、より多くの貿易円滑化措置を打ち出し、大型プロジェクトの推進と牽引作用を重視していくことになるだろう。
(劉作奎 中国社会科学院欧州研究所)